習近平独裁政権の“悪手”が深刻…中国が「世界の覇権国」から遠ざかったといえるこれだけの理由【経済の専門家が解説】

習近平独裁政権の“悪手”が深刻…中国が「世界の覇権国」から遠ざかったといえるこれだけの理由【経済の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

7月18日まで共和党大会が開催された米国と、同じく7月18日まで三中全会が開かれた中国。世界情勢のカギを握る2国ですが、この日、「米中」の明暗がはっきり分かれたと、経済の専門家で株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏はいいます。米国好調の理由と中国不調の背景について、それぞれ詳しくみていきましょう。

バブルそのものを否定している習近平政権

中国が日本と同様の不動産バブルの崩壊、デフレ陥落という長期経済困難に陥りつつあることは明らかである。

 

3中全会の声明には「不動産、地方政府債務、中小金融機関など重点リスクを抑える方針をしっかり実行する」と明記されたがその具体策はなく、これまでの弥縫策と問題先送りが連発され続けることを示唆した。

 

そもそも習近平政権は不動産価格規制により価格下落を抑えることで、バブルそのものを否定している。

 

日本の場合地価はピークから8割下落して底入れしたが、中国の住宅価格は1割程度の下落にとどまっている。よって統計上も企業財務上も日本で起きたような規模での不良債権はまったく発生していない。

 

その結果恒大集団、碧桂園などの事実上の破綻企業が追い貸しによって生かされている。当然のこととして住宅価格の先安観が定着し不動産取引が激減しているのである。

 

不動産需要を振興するためにローン金利の引き下げや頭金比率の引き下げ、代金前受済みの未完成物件(保交楼)の完成のための不動産業者への融資拡大、売れ残り住宅在庫の政府買い取りと公的住宅への転用、などが打ち出されたが、その規模は小さく焼け石に水である。

 

雇用不安が高まり、不動産価格の先安観の高まっている状況では、国民は消費を切り詰めざるを得ず、それがさらなる経済収縮を招いている。社会保険・年金未整備の中国では、唯一庶民が頼れるものは貯蓄のみなのである。

 

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※本記事は、武者リサーチが2024年7月21日に公開したレポートを転載したものです。
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