(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の富裕層が海外移住しようとしたとき、真っ先に思いつく国はシンガポールでしょう。人気のエリアや実際の家賃について、シンガポール在住30年以上の東京不動産(Tokio Property Services)の高野社長にお話をうかがいました。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

単身・夫婦2人世帯には「タンジョンパガー」がお勧め

小峰:オーチャード通りエリア以外で、人気のエリアはありますか?

 

高野:Novena(ノヴェナ)はファミリー層に人気の住宅地です。オーチャード通りやマリーナエリアといった中心部へのアクセスいいですし、ショッピングモールも充実しています。東京でいうなら世田谷区でしょうか。

 

小峰:単身世帯や夫婦2人世帯に人気のエリアはありますか?

 

高野:Tanjong Pagar(タンジョンパガー)でしょう。このエリアはオフィス街の近くですから、ビジネスパーソンに便利です。また、たくさんの飲食店がありますから、外食を楽しむにもぴったりでしょう。さらに、ドンキホーテ、Daisoなど日系の店を含め、日常的な買い物にも便利です。東京でいうなら渋谷や新宿でしょうか。

 

小峰:先ほどのNovena(ノヴェナ)やTanjong Pagar(タンジョンパガー)のエリアの家賃を教えてください。

 

高野:2ベッドルームのコンドミニアムを借りる場合、築30年位の古い物件なら5,000シンガポールドル(約60万円)くらいからあります。しかし、築浅の物件だと7,000シンガポールドル(約84万円)くらいからでしょう。これらのエリアも人気なので、やはり家賃は安くありません。

 

小峰:人気エリアの家賃は安くないですね…。ところで、日本人駐在員ファミリーはどれくらいの家賃の家に住んでいるのでしょうか?

 

高野:私の体感ですと、家賃が安めの方々は家賃3,000から5,000シンガポールドル(約36万円~60万円)までの家に住んでいる印象です。そして、駐在員の全般的な標準が5,000から6,000シンガポールドル(約60万円~72万円)でしょうか。多くの日本人が満足できるレベルの家を求めると、9,000シンガポールドル(約108万円)くらい出さないとむずかしいでしょう。

 

小峰:安い物件を借りている方々は、どういった所に住んでいるのでしょうか?

 

高野:特定のエリアというより、シンガポール全域に散らばっている印象です。以前は、MRTの駅が近くにないと不便だと思っている方が多かったのですが、いまはバスが通っていれば十分という感じになっています。シンガポールはバスが発達していますし、Google mapがあればバスも使いやすいですから。

 

タンジョンパガーにあるコンドミニアム「Icon」
タンジョンパガーにあるコンドミニアム「Icon」

「不動産を買う」という選択肢は、非現実的

小峰:コンドミニアムを買う方もいらっしゃいますか?

 

高野:居住用物件を買う場合、シンガポール人であれば購入価格の3%の印紙税で住むのですが、外国人や法人が買う場合、投機抑制策として購入価格の60%の印紙税がかかります。ですから、コンドミニアムを買って売却益を狙うというのは現実的ではありません。60%値上がりしないと元を取れないからです。

 

小峰:日本人で物件を購入して住んでおられる方もいらっしゃいますか?

 

高野:有名企業の創業家でシンガポールに住んでいる方々は、カジノリゾートも並ぶセントーサ島の一戸建てを購入していますね。

 

小峰:高野社長はシンガポールに30年在住とのことですが、この30年間で、在シンガポール日本人の立ち位置について、変化を感じますか?

 

高野:以前は日本人というと「お金を持っている人達」と見られたものですが、いまでは「貧乏人」扱いされていますから、日本の経済的地位がだいぶ落ちたと感じます。そんななか、シンガポール在住の日本人は、工夫して切り詰めながら生活しています。

インタビューを終えて

シンガポールの物件の賃料は日本と比べると相当に高いですが、シンガポールに来るたびにアジアの金融ハブならではの勢いを感じますし、シンガポールに移住したいという富裕層が多いのも納得です。

 

家賃の高さも、これが世界の先進国のスタンダードであって、先進国の中で日本だけ成長していない結果なのでしょう。

 

(2024年7月5日インタビュー)

 

 

小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士

 

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