「貸家建付地」として扱ってもらえない場合とは?
◆家族への賃貸や駐車場などは線引きが難しい
貸家建付地となるかどうかというのは、相続財産の評価においては大事なポイントです。貸家建付地になるかどうか判断が分かれるケースについて考えてみましょう。
①子どもが同居しているケース
親名義の貸家に子どもが居住している場合、息子が住んでいる部分は一般的には家賃の支払いや受け取りはありません。
この場合、無償での部屋の利用でしかないので、他人にアパートを賃貸しているわけではなく、貸家建付地評価とはなりません。仮に契約書も作成して、常識的な賃料を銀行振込で支払っているのなら、貸家建付地評価となる可能性が出てくるでしょう。
②駐車場は原則として更地評価
貸家が建っている部分と駐車場、空地が一団の宅地内にある場合、どの部分までを貸家建付地とするのかというのも判断が難しい事例です。
通常、駐車場として利用している土地は、原則的に自用地として更地評価とします。また、駐車場の利用者に貸家の入居者以外の利用者がいるなどの場合も更地評価になってしまいます。
しかし、貸家と駐車場が一体で利用され、駐車場の利用者がすべて貸家の入居者であれば、利用の単位を同一と見て貸家と駐車場の全体を貸家建付地として評価します。
◆建ぺい率や利用者の状況で判断する
アパートが数棟あって、それぞれのアパートの敷地のどこまでが一体利用かどうか判断が分かれるのなら、建築基準法に基づく「建ぺい率」で計算する方法もあります。
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことですが、建ぺい率40%の地域の400m2の宅地内に100m2の貸家を建てたとすれば、100m2 ÷ 40% = 250m2の敷地が必要となります。この程度の面積までであれば一般的に貸家建付地評価ができるでしょう。
また貸家の敷地内の駐車場についても、駐車場の場所と貸家がフェンスや塀などで明確に区分されている場合には、建ぺい率などより貸家部分が広くとも貸家建付地と考えることができるでしょう。
しかし、アパートと駐車場が道路を挟んで右と左にあるような場合には駐車場は更地評価になります。
深代 勝美
公認会計士、税理士、行政書士
深代税理士法人 理事長、(株)アンテックス代表取締役社長、経営コンサルタント
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