(※写真はイメージです/PIXTA)

いつやってくるかはわからない親の死。日々の生活に追われてしまいがちですが、悔いの残らないようにしておきたいものです。本記事ではAさんの事例とともに、相続の事前準備について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

明かされる真実

日記帳には以下の内容が記されていました。

 

退職金が出たので、知り合いに勧められアパート経営をしてみようということになった。1人でなにもすることがなかったので、アパートの管理(清掃)をしながら、いろんな意味で社会とのつながりになりそうだと決めた。

ただ、ローンもあり、団体信用生命保険に加入していないことから、もしかすると自分が亡くなったときに、息子に迷惑をかけるかもしれない。ただ、アパートは立地がいいところで、おそらく売却すると小さいながらも7,000万円相当になるといわれた。ローンが残ってしまって息子の負担になる可能性もある。

しかし残債が売却以上になることはないと聞いている。売却して差額は老後の足しにしてほしい。息子になにも残してやれなかったから、せめてアパートを引き継ぐなり、売却するなり、好きにしてほしい。

 

真実を知り呆然とするAさん。もっと早くにわかっていれば……。

相続には事前コミュニケーションが不可欠

そもそも親子のコミュニケーションがとれていれば、腰痛を悪化させることもなく、無理して働く必要のなかったAさん。

 

相続により引き継ぐものが負の資産であれば、相続放棄することもできますが、資産の本当の価値を知っていれば宝の持ち腐れになることもなく、そもそも父の想いをわかっていればと悔やまれます。

 

 

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシア

FP

 

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