(※写真はイメージです/PIXTA)

年金の財政検証結果が発表されました。マスコミでは「年金支給額2割減」としきりに報道されていますが、実態はどうなのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

若い人も年金は受け取れる。年金は大事にしよう

若い人のなかには「どうせ自分の老後は年金が受け取れないから、年金保険料を払うのは嫌だ」と考えている人も多いようです。しかし、上記のように、比較的妥当と思われる前提を置いて計算した結果からしても、いまの若者は今の高齢者の生活水準とそれほど異ならない生活が送れるのです。

 

寿命が伸びる分、健康寿命も伸びるでしょうから、高齢者になっても元気な間は働いて稼ぐことができるでしょう。それを考えれば、いまの若者が老後を悲観しすぎる必要はなさそうです。

 

むしろ、年金保険料を払わないことで、老後に年金が受け取れないといった悲惨な目に遭いかねないので、年金保険料はしっかり払うようにしたいものです。サラリーマンは、年金保険料が給料天引きなので心配は少ないですが、自営業者等は要注意です。

マスコミは「大丈夫」より「心配、問題」と書きたがるので…

年金制度は複雑なので、マスコミのなかには、年金制度をよく理解できていない記者もいるようです。しかし、筆者がそれ以上に懸念しているのは、マスコミは悲観的なことを報道したがる、ということです。

 

「大丈夫です」というより「心配だ、問題だ」と騒ぐほうが読者の関心を惹きつけることができるからなのでしょうが、一部のマスコミには政府批判が自分の仕事だと考えている人もいるようで、政府に都合の悪い記事を書きたがるのです。

 

年金についても、公的年金の運用益がプラスのときは小さく報道し、マイナスの時は大きく報道する傾向があります。そのため、政府は年金の運用で損をしていると感じている人も少なくないようですが、これだけ株価が上がっているのですから、そんなはずはありませんね。

 

マスコミの仕事は政府を監視することであって、批判すべきことは批判し、評価すべきことは評価すべきだ、と筆者は考えているのですが、そうでない記者が少なくないということは、残念なことですね。

 

残念がっていても仕方ないので、マスコミ情報の受け手の方が「マスコミ情報は現実より悲観的な傾向がある」ということをしっかり理解して向き合うことが重要だと思います。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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