なだらかな不動産価格「下落」が予想される地域の共通点
3バブル期に建てられたリゾートマンションのなかにも、発売当初に何千万円もしたものが、今や老朽化でほとんど資産価値がなくなり、住むための維持修繕費用のほうがずっと高くつくような負の資産、いわゆる「負動産」が数多くあります。
1960年代の高度経済成長期に、当時の住宅難への対応策として開発された全国のニュータウンにも、価格が下落している物件が少なくありません。都心部から離れていて駅からも遠く、老朽化が進んだ団地が多いのですが、居住している方の多くは高齢者です。
居住者が亡くなったり転居したりしても、次の入居者が見つかりづらいため、夜に近くを通るとほとんど明かりが灯っていない棟もあります。
①や③以上に多いのは、現状ではある程度価値を保っているものの、これからなだらかに不動産価格が下落していく地域です。
代表的なのは、都心から30〜40㎞ほど離れている、かつてのベッドタウンです。そこまで都心部から離れていないということで、従来は人気の高かったエリアでも、今後は高齢化・人口減少が進み、徐々に価値が下がっていく可能性が高いです。
駅から離れれば離れるほど、価格の下落幅は大きくなっていきます。よっぽど高い付加価値がない限り、マイホームは駅から近ければ近いほど良い、という価値観が大勢を占めます。以前は「徒歩10分以内」なら十分駅近というイメージでしたが、今は「徒歩7分以内」など、より駅近の物件を探す人が増加しました。
かつてはブランド力の高い街であれば、利便性に多少の難があっても高額物件が売れました。たとえば、長らく人気エリアとされてきた東京都の世田谷区には、昔からの高級住宅街が多く、なかには最寄り駅から20分以上離れたところもあります。
しかし、最近はそうしたエリアで、駅からの遠さがネックとなって、地価の下落が見られるように。緑豊かで閑静な住宅街が広がり、住環境は最高だとしても、駅から遠いと敬遠される傾向が強まっていることがわかります。
長嶋 修
さくら事務所 会長
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