好立地エリアに建つタワマンの「強気の値段設定」は続く
最近話題になったのは、2023年11月に開業した東京都港区の麻布台ヒルズの超高額物件です。麻布台ヒルズにはオフィス、商業施設、ホテル、住宅、文化施設などが入っていますが、そのなかに大阪のあべのハルカスを抜いて日本一の超高層ビルとなった麻布台ヒルズ森JPタワーがあり、54〜64階部分が住宅エリアになっています。
この住宅エリアは「アマンレジデンス 東京」という名称で、世界有数のラグジュアリーホテル・アマンとの提携によって作られたもの。販売価格は明らかにされていませんが、1戸あたり20億円前後と見られており、もっとも広い最上階の住戸は200億円とも300億円とも噂される、異次元の価格設定です。
このような超高額物件は一般公開されず、一部のVIPに紹介制で販売されます。住宅ローンで借りられる金額には限度があるので、顧客の多くは現金一括で購入できるケタ外れの富裕層か投資家です。
特に海外の投資家は、昨今の円安で日本の不動産への投資に積極的です。彼らからすると、日本は「物価の安いお買い得な国」であり、なかでも東京は、さまざまな魅力を備えた投資妙味のある都市と見られています。
東京の不動産は、世界の大都市――たとえばシンガポールや香港などの不動産よりも割安です。それらの大都市でハイエンドな物件を買おうとするとかなり高くつくため、海外の投資家は東京の高級物件に目をつけるわけです。
かつては東京のなかでも、湾岸エリアのタワマンに対する需要が旺盛でしたが、最近のターゲットは都心3区に移っています。
その結果、今では都心3区、及びその周辺の一部エリアの不動産だけが、グローバル基準に近い水準で売買されるようになりました。アマンレジデンス 東京はその象徴と言えます。
東京の例を挙げましたが、2023年には大阪の一等地にある25億円のタワマン住戸が早々に売れるなど、好立地エリアのタワマンの強さが目立ちました。日本の不動産価格全般が下落するような局面でも、このような物件が大きく値下がりする可能性は低いでしょう。
不動産デベロッパーも、もはや一等地では一般ファミリー層への売却を念頭に置いていません。強気の価格設定は揺るがないはずです。
長嶋 修
さくら事務所 会長
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