学校の先生は激務らしい……教育現場のブラック化が広く知られるようになり、教師の人気は下降の一途。教員採用試験の倍率は軒並み低迷し、2023年、公立小学校の採用選考試験の採用倍率は2.3倍と過去最低を記録しました。そのようななかでも教員を志し、教師を続けようと努力を続ける若者たち。彼らのリアルな声を通し、ブラック職場といわれる教育現場の“今”をみつめていきます。

20代教師…教師を目指した理由はそれぞれ

文部科学省『令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査』によると2022年度、精神疾患による病気休職者は、小学校では3,202人。5年間の推移をみていくと、2018年度2,421人、2019年度2,647人、2020年度2,541人、2021年2,937人。コロナ禍で一時的に減少したものの、基本的に増加傾向にあります。

 

また年代別にみていくと、20代が1,288人、30代が1,867人、40代が1,598人、50代が1,786人。5年前と比較すると、1.67倍、1.39倍、1.21倍、1.00倍と、特に若い教師の間で精神疾患による休職者が増えていることが分かります。

 

――教師の仕事はキツイ

 

そう広く知られるようになったのはそれほど昔のことではありませんが、教師は急激に不人気職業のひとつに数えられるようになりました。それは、毎年のように最低倍率を更新する採用選考試験の倍率からみても明らかです。

 

各方面からブラック職場と揶揄されるにも関わらず、なぜ、教師を目指したのか……東京都の公立小学校に勤務する教師歴4年の白石美咲さん(仮名)は「教師は子どもの頃から夢だった」といいます。

 

白石「子どもの頃から『人に教えること』が好きで、妙に自信を持っていました。教育実習生がやってくると『私のほうが上手に教えられるのに』とライバル心を抱いたり。相当生意気ですよね(笑)。『人に教えること』が好きという想いから、自然と学校の先生になりたいという憧れを抱くようになったんだと思います」

 

教員養成系の大学に進学。しかし、大学3年時には就職活動も行いました。

 

白石「大学3年生にもなると、教師という職業について、現実が色々と見えてきます。給料は悪くはないけど残業代は出ないとか、労働時間は長いとか。そのようなことを考えたら、別の可能性を探ってみたくなったんです」

 

しかし就職活動を通し、さらに教師になりたいという気持ちが強くなり、最終的に教師という道を選んだといいます。

 

白石「学校の先生は子どもでもイメージしやすく、分かりやすい職業・仕事だと思います。一方で民間企業の仕事は学生の頃の私には抽象的でイメージしにくいものでした。就職活動を通して教師という仕事がより魅力的に思うようになり、『人に教えることが好き』という原点を再認識しました」

 

一方で、白石さんと同じ小学校に勤務する教師歴3年の福井彩さん(仮名)「白石さんほどの教師になりたいという情熱はなかった」と少々控えめに語ります。

 

福井「親が教師で、なんとなく教育大学に進学しました。大学でも教師になるために一生懸命勉強をしていたわけではなく、遊びに熱心だったかな(笑)。大学3年生になり、今後のことを真剣に考えないといけないときでも、自分は何がやりたいのか、何が向いているのか、本当に分かりませんでした。いよいよ最終的に将来のことを決めなければならないタイミングで、ここは教育学部だし、唯一やりたいこと、やってもいいかなと思えることは教師かなと結論付けて、採用試験を受けることにしたんです」

 

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