学校の先生は激務らしい……教育現場のブラック化が広く知られるようになり、教師の人気は下降の一途。教員採用試験の倍率は軒並み低迷し、2023年、公立小学校の採用選考試験の採用倍率は2.3倍と過去最低を記録しました。そのようななかでも教員を志し、教師を続けようと努力を続ける若者たち。彼らのリアルな声を通し、ブラック職場といわれる教育現場の“今”をみつめていきます。

ブラック職場といわれる教育現場…40代ベテラン教師の証言

20代の若い教師の話から、教師を取り巻くブラック職場の内情を垣間見ることができました。一方で、都内の公立小学校に勤務する教師歴20年の立川誠さん(仮名)は、働き方改革が叫ばれている教育現場のしわ寄せがいく、ベテラン教師の実情を語ります。

 

話を伺った教員歴20年の立川悟さん(仮名)。今と異なり、10倍以上の競争率を乗り越えて教師になった
話を伺った教師歴20年の立川誠さん(仮名)。今と異なり、10倍以上の競争率を乗り越えて教師になった

立川「若い教師には優しく……最近はそのような風潮が広がっていますね。人手が足りないなか、若い先生に辞められては困ります」

 

「早く帰りなさい」と若い教師に促し、代わりにベテラン教師が業務を負担することも。それで労働時間が増えたとしても、欠員が出るよりはましだというわけです。時代的な背景もあり、業務過多の耐性は若手教師よりもあり、ベテラン教師の負担は増す傾向にあります。

 

また保護者対応についても、この20年の変化について証言。

 

立川「昔は何か問題が発生しても、保護者が電話をするのは学校でしたよね。いまは簡単に教育委員会に連絡がいきます。昔は教育委員会の連絡先は色々と調べないと分からなかったという事情もあるんでしょうね。いまは検索すればすぐに分かりますから」

 

「学校の対応は保護者ファーストになりがちだ」と立川さん。そのような考えも、教師の業務負担が増えている要因のひとつです。またドロップアウトする若い教師が多いことについては、「真面目過ぎたり、不器用過ぎたりと、個人の特性が大きい」と前置きをしつつ、前述の2人の若手教師と同様、環境の影響が大きいと立川さん。

 

立川「学校によって人員配置は異なり、孤立を招きやすい環境であれば、潰れてしまうこともあるかもしれません。また教師は自分なりの理想を持っていることが多いので、そのことが評価されるかどうかも重要だと思います。ツラくても評価されていれば乗り越えられることはありますからね」

 

自身の教育論と行動。教師という職業にやりがいと誇りをもっているからこそ、評価があれば乗り越えていける。しかし評価されなければツラいだけというわけです。評価されるかどうかは、学校の長、校長の考え方によるといいます。

 

「上司との相性が良いかどうかは、教師人生を大きく左右するのではないでしょうか。業務量が多いという根本的なことのほかに、働くうえで人間関係が重要なのは民間企業と同じですよ」

 

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