「足りない分は働いて」国主導で進む「自助努力」
高年齢者雇用安定法も改正され、70歳まで働き続けることが国主導で推進されている現在。「年金だけでは老後の生活費が賄えないから、足りない分は働いたり、投資で増やしたりしてください」と言われているのが現状だ。
「もはや年金には期待できない」というのが、国民の総意になってきたともいえるが、改めて現況を把握してみよう。
年金が受け取れるのは原則65歳から(繰上げ受給の場合は減額される)。日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超えているのだから、15年~20年は年金頼りの生活になる。では、実際の受給額はいくらか。
厚生労働省年金局発表の『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』では、以下の事実が報告されている。
***************
●令和5年度末現在における厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額を含めて、老齢年金が14万7千円、通算老齢年金・25年未満が6万5千円となっている。
●国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は、令和5年度末現在で5万8千円、令和5年度新規裁定者で5万5千円となっている。
***************
この数字ですら「生活していくには少なすぎる」と感じる人も多いことだろう。ちなみに令和元年度の平均年金月額を見てみると、厚生年金が14万6千円、国民年金が5万6千円。年金額は、物価の変動に応じて毎年度改定されているものの、4年前からほぼ変わっていないのが現実といえる。
さて、1971年~74年生まれを指す「団塊ジュニア」。現在50歳~54歳、働きざかりの彼らが定年退職を迎えたときには、平均寿命が100歳近くなっていても何らおかしくない。老い先40年間の年金生活を問題なく過ごせるだろうか? 労働人口が減少の一途をたどるなか、無理があるのは明らかだ。