(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を検討する際、取り扱い物件に対して「新しいほどよい」「古いものは悪い」という印象を持っている人がいるかもしれません。この「築古には価値がない」、もっといえば「築30年を過ぎたら“築古”である」という考え方自体にも異議を唱えているのが、バブル期のRC造マンションを投資物件として取り扱う、株式会社プラン・ドゥの代表・杉山浩一氏です。その理由を、同氏が執筆した『新富裕層のための本質的不動産投資』(明日香出版社)より一部を抜粋し、ご紹介します。

バブル期の物件は「新耐震基準」が適用

とはいえ、どんな建物であっても47年以上もつと言いたいわけではありません。

 

どの建設会社が手がけたのか、設計のレベルはどうだったのか、そして何より、いかに入念な修繕や管理が行われてきたのか。それらによって耐用年数は変わってきます。単に年数だけで、物件の良しあしを決めつけることはできません。

 

1つの指標として、30年が経過しても快適に住み続けている住人がいるのであれば、それ自体がそのマンションの価値を表しているということはできます。私たちは皆さまに、イメージではなく、根拠を持ってバブル期の物件を知ってもらいたい、お伝えしたいと考えています。その特徴がどのようなものかを、今から少し見ていくことにしましょう。

 

バブル期に建てられたマンションは、新耐震基準が適用されています。RC造マンションは適切な管理と修繕を継続することで100年は使い続けることができると国土交通省も明言していますが、なぜ明言できるのかというと、新耐震基準がそのような基準だから、ということになります。

 

具体的には、「旧耐震制度」は「震度5程度の中規模の地震で大きな損害を受けないこと」が基準となっているのに対し、現在の耐震制度では「中規模の地震では軽微なひび割れ程度の損傷、震度6強や7に達するほどの大規模な地震でも倒壊は免れること」が基準となっているのです。

 

阪神・淡路大震災の際にも、倒壊したのは旧耐震制度の下で建てられた物件でした。新耐震基準の下で建てられた物件は、設備の不具合はあっても、建物の構造には大きな問題は生じませんでした。東日本大震災のときにも、千葉ベイエリアは液状化により傾いた建物が多くありましたが、基礎が安定している新耐震基準下のRC造の物件は傾きませんでした。

 

半面、しっかりしているが故に、解体する場合には費用が非常に高額になります。いったん更地に戻して新しい物件を建て直したいという方も中にはいらっしゃいます。その理由の多くが、「築古」を気にされているからです。

 

しかし、経済合理性の観点からはもちろん、100年以上も安全に使える物件を活用しないことは、それ自体が非常にもったいないことだと言わざるを得ません。

 

ちなみに、解体費用がかさむのは構造だけが理由ではありません。30年前には、RC造マンションの解体費用は坪単価約2万円といわれていましたが、今では10万円程度にまで高騰しています。

 

その原因は人件費ではありません。その当時、建築資材の廃棄に関する規定は今ほど厳しくはありませんでした。当時の解体業者の中には、甘い規制の下で、廃材をきちんと分別することなく、不法投棄に近い処理をしているところもありました。

 

しかし、当然ながら今では、そのようなことは絶対に許されません。廃材をしっかりと分別し、決められた場所に正規な手続きを経て廃棄する。そのために、リサイクルの費用なども含めて、解体コストが大幅に上昇しているわけです。

 

コストばかりを口にするのは決して好きではありませんが、サステナブルという時代背景だけでなく、コストの観点からも安易な解体は得策とは言えません。「価値のあるものを安易に廃棄せず、手を加えて活かしていく」という考え方を、今後も大切にしたいと思っています。

 


杉山 浩一
株式会社プラン・ドゥ 代表取締役

 

 

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※本連載は、杉山浩一氏の著書『新富裕層のための本質的不動産投資』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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