ハルコさんは生活保護を受けられることに
アキヲさんが母の住む地域の福祉事務所に足を運び相談したところ、ハルコさんは生活保護を受給できることになりました。
生活保護制度とは
生活保護という制度は、日本国憲法第25条「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」に基づいてつくられた制度です。
「要件が厳しい」「資産はすべて手放すことが求められるのでは?」など、イメージが先行し、実践的なものとして認識されにくい傾向があります。ですが制度の基本を理解し、生活に困った際に福祉事務所に相談するのは有効です。
【生活保護】子どもが正規雇用で働いていても受給できる?
申請者が子と生計を共にしていた場合に関係します。生活保護の審査は世帯全体の収入が基準となるため、正規雇用の子と生計を共にしている場合、受給は難しいでしょう。
しかし今回のケースでは、アキヲさんを含む2人の子どもたちはすでに独立しており、世帯が別々です。申請者の世帯収入に子どもたちの給与が合算されることはありません。
【生活保護】持ち家を売却しなくても受給できる?
次なる懸念点は持ち家です。持ち家の評価額が一定以上に高い場合は別ですが、持ち家にはハルコさんが今現在住んでおり、売却は現実的ではないと判断されます。
実際に、生活保護を受給している161万7,578世帯のうち、4万6,887世帯が持ち家を所有しています。持ち家所有率は約3%です。割合はわずかではあるものの、多くの受給者が持ち家を認められています。ハルコさんも無事に持ち家を所有したまま受給できることとなりました。
(参考:厚生労働省の令和3年度年次調査)
笑顔が戻り、新しい人生をスタートさせたハルコさん
その後、生活保護費が振り込まれるようになると、ハルコさんの栄養状況は大幅に改善しました。少しずつ体重は増え、顔色は格段に明るくなりました。
活力を取り戻したハルコさんは、商店街の友だちの紹介で、保護猫の一時あずかりボランティアを始めます。保護猫の引き取りを希望する人とは保護団体の方と一緒にオンライン面談し、猫の特徴や注意点等を伝えます。社会との繋がりが増え、ハルコさんは以前より生き生きとしています。これからも人や動物と関わる喜びを感じながら、暮らしていきたいと思うハルコさんなのでした。
波多 勇気
波多FP事務所
代表ファイナンシャルプランナー
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