「紳士的」な警視庁と「ヤクザか」と揶揄される大阪府警…ここまで違う「家宅捜査」のスタイル【元新聞記者が解説】

「紳士的」な警視庁と「ヤクザか」と揶揄される大阪府警…ここまで違う「家宅捜査」のスタイル【元新聞記者が解説】

刑事によって、2人一組で行われる取り調べ。犯罪者や容疑者は、往々にして自分に不利益な供述を避けようと必死になるそうです。しかし、取り調べで黙秘をすることは彼らにとって得なのでしょうか、損なのでしょうか。『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』(東洋経済新報社)より、著者の三枝玄太郎氏が取調室の実情と判例について詳しく解説します。

家宅捜索は「ショー」的な要素も

たしかに、大阪と東京とではカラーが真逆といいますか、警視庁の家宅捜索はかなり紳士的です。

 

山口組落合金町連合を家宅捜索した際のフジテレビの映像がネット上に残っていましたが、暴力団のほうがいきり立って「開けらんねえよ、この野郎!」と敷地内から怒鳴り続けるのに対し、外で待機した捜査責任者(高尾警察署員)は「開けなさい」「私と話をしよう。私が責任者だ」と冷静です。

 

あくまでも主観ですが、捜索の過去映像を見たかぎりでは、怖い順に大阪府警>福岡県警>岐阜県警>北海道警>静岡県警・警視庁その他……といったところでしょうか。福岡県警も全国唯一の特定危険指定暴力団である工藤會が管轄にいますからね。福岡県警の家宅捜索も迫力があります。

 

ちなみに「家宅捜索はテレビ映えがいい」と言いましたが、警察もメディアに映ること前提で家宅捜索することが結構あります。いわば一種の〝ショー〞であり、逆に、極秘裏に行うのが〝ガチ〞の捜索というわけです。

 

森功『大阪府警暴力団担当刑事「祝井十吾」の事件簿』(講談社)の登場人物である大阪府警捜査四課の刑事は、「(大阪)府警のガサは本気ですからね。警視庁とか兵庫県警なんかは、事前に向こうに『ガサを入れるから』と連絡をする。抵抗せんよう話し合いができているらしく、もめることはほとんどありません」と話しています。

 

暴力団の組事務所や幹部の自宅には、土佐犬などの闘犬や凶暴な生き物が飼われていることがかなりあります。静岡県警の刑事に聞いた話ですが、あるガサ入れの際、やはり立派な土佐犬がケージの中で飼われていたそうです。

 

捜査員が「ここはいいか……」と帰ったら、後日、犬のお腹の下に拳銃が隠してあるのが判明し、大騒ぎになったといいます。以来県警では、闘犬がいる場合は、あらかじめ組員にケージから出してもらって捜索するのだ、と言っていました。マスコミのカメラの前で嚙まれるなんて、警察の威信に関わりますものね。

 


 

三枝 玄太郎

 

※本記事は『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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※本連載は、三枝玄太郎氏の著書『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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