どうして?「遺言書の内容と遺産分割が違う…」
それから1年。姑はちょっとした体調不良から肺炎になり、あっけなく亡くなってしまいました。鈴木さんは涙をぬぐう一方、認知症になることも、寝たきりになることもなく、短期で介護生活が終了たことに、ひそかに胸をなでおろしました。
身内だけのしめやかな葬儀から3カ月経過。自筆証書遺言の検認も無事に終わりましたが、夫からは、相続の話はなにも出ません。
しびれを切らした鈴木さんは、リビングでのんびりコーヒーを飲んでいる夫に話を振ってみました。
「相続手続き、大丈夫? お義母さんの家、そろそろ売却先を探さないと…」
夫は新聞から顔も上げずに言いました。
「おふくろの財産は、全部妹にやることにした。生活が大変だっていうから…」
「どうして!? 遺言書の内容と違うじゃない!」
驚いた鈴木さんは、思わず聞き返しました。
「2人で話し合って決めたんだ。あいつは1人で大変だろう? うちはお金に困っているわけではないし。実際、君も専業主婦なんだから、いいじゃないか」
長男の嫁である鈴木さんは、姑の相続人ではありません。そのため、相続に口をはさむことはできません。また、遺言書の内容と異なる相続も、相続人及び受遺者全員の同意があれば可能とされています。
「どうしてこんなことに…」
蚊帳の外に置かれた鈴木さんは、悔し涙を流しました。
相続は、ときに悔しい思い、やるせない思いをする人が生じることがあります。それを防ぐには、被相続人の生前から、家族間でよく話し合い、負担に思っていることなどを共有することが大切です。義母の生前、鈴木さんの大変さが夫と義妹の間で共有されていれば、このような結果にはならなかったかもしれません。
[参考資料]
法テラス「法定相続人とは何ですか。」
法テラス「遺言の検認とは何ですか。」
法テラス「遺言の内容と異なる遺産分割をすることはできますか。」
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