(※写真はイメージです/PIXTA)

映画『男はつらいよ』でも語られなかった、本当につらい男の人生とは。下がる実質賃金、増える社会保険料。それでも一家を養うのは男の仕事と期待され、稼ぎがなければ結婚もできない。そんな男性のいきづらさを、書籍『弱者男性1500万人時代』の作者、トイアンナが語る短期集中連載、第2回目は「新しい男性を差別する言葉、チー牛」について語ります。

「チー牛こそが女叩きをしている」という偏見

もちろん、世にはびこるのは弱者男性への蔑視だけではない。


「バカマ◯コは、稼いでも男を養わない」 
 「おっさん女子とか言うけど、おっさんほどの甲斐性が女にあるのかね」 
「女がまともじゃないから、男がネットでグチってるだけで、それが嫌なら早くまんさん(女の蔑称)がまともになれよ」

 

こういった女性差別を、SNS上で発信する弱者男性は存在する。だが、それはごく一部だ。『週刊SPA!2023年10/24.31合併号』の調査によると、弱者男性になった理由を「女性のせいだ」と考える方は、全体の3.6%%にすぎないと判明した。つまり、ネットで女性を叩いてうっぷんを晴らしているのは、弱者でもなんでもない、普通の男性だったり、ときに強者男性たちなのだ。

 

実際、弱者男性の当事者へヒアリングを実施しても、女性蔑視をする男性はほとんどいなかった。むしろ「女性を憎んでいる弱者男性はいませんか……?」と声をかけて、ようやく見つけることができるか、できないかというレベルだ。

 

念のために補足すると、筆者が女性だからという理由でインタビューが断られないよう、男性ライターにヒアリングを依頼した。それでも、この結果である。弱者男性=女性を叩くもの、というのは完全なる幻想であろう。

 

にもかかわらず、SNSでは「チー牛」こそが「女叩き」を行う存在だと誤解されている。そして「チー牛はモテないことを妬んで女性を蔑視している」「弱者男性は女をモノとして扱う」といった偏見が、無邪気にSNSへばらまかれている。

次ページ暴力的な男性が、抵抗できない弱者男性を傷つけている
弱者男性1500万人時代

弱者男性1500万人時代

トイアンナ

扶桑社

週刊SPA!連載の「弱者男性パンデミック」に大幅加筆修正を加えて新書化! データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在。 「お前はお前を愛せない、女もお前を愛さない。 それだけで人生はこんなにも過酷だ」 配信者…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録