女性が経済的自立を得つつある
かつて、女性の経済的自立が困難だった時代。「男が女を養う」ことは、女性の生活保障につながっていた。
たとえば、イスラム教では一夫多妻制が容認されている。これは、イスラム教の経典『コーラン』に記載があるからだ。イスラム教が始まった7世紀ごろ、当時は戦乱が続いていた。そのために夫が死んでしまい、大量発生した未亡人(寡婦)や孤児を救済する必要があった。そうして生まれたのが、裕福な男性が女性を複数養う一夫多妻制であった。
さまざまな解釈があるものの、『コーラン』においては“女性は男性より劣位にある”とみなし、“男性は自分の財産から経費を出し、女性の擁護者となる”とされている。こういった流れもあり、現代もエリトリアやフィリピンなどではイスラム教徒に限り、重婚が認められている。
また、かつての日本では、「夫に先立たれた妻は、その兄弟と結婚する。そうすることにより兄弟は一度めとった女性を養う責任を負う」とみなす風潮があった。これをレビラト婚といい、世界中でかつて見られた風習である。
とはいえ、現代日本でこんなことを言い出したら、SNSにさらされるか、弁護士を呼ばれるだろう。現代日本では徐々に、女性が経済的自立を得つつある。
実際に、男女間の賃金格差は縮小している。厚生労働省の「2022年賃金構造基本統計調査」結果によると、フルタイムで働く男性の賃金の中央値を100とした場合、女性の賃金は75.7となる。フルタイム同士で男性よりも3割稼ぎが少ないとはいえ、2012年と比べて5ポイント改善した。徐々に、女性が経済的自立を得ているのだ。
女性の経済的自立は、女性が「生活保障としての結婚」から脱却することも意味する。かつて女性は、自分が生きていくために、男性に食べさせてもらう必要があった。なぜなら、女性が働きやすい職種はごくわずかであり、その多くが低賃金だったからだ。しかし、今や女性は、結婚するかしないかを、選ぶ自由を得つつある。
そして、女性が結婚しない自由を得ると同時に生まれたのが、結婚してもらえない男性たちである。
そこで「選ばれない男性」はどうなるのか。