(※写真はイメージです/PIXTA)

きょうだい間における格差や親への不満は根深い問題だ。しかし、年齢を重ねて弱った親を突き放すこともむずかしい。よい対応策はあるのだろうか。

「はぁ? 母さんは元気でしょ?」

「母もこれから弱っていく一方ですから、なんだかんだ言って、私が面倒を見ることになるのでしょうね…」

 

そして先日、急な雷雨となった週末の午後、母親から「具合が悪いの、いますぐ来て」と電話がかかってきた。女性は何事が起きたのかと驚き、大雨の中ずぶぬれで急ぎ駆けつけたところ、母親はソファに腰かけてテレビを見ていた。

 

「お母さん、どうしたの!? 大丈夫なの!?」

「ああ、なんだかちょっと頭が痛かったの。でもお薬飲んだら治ったみたい…」

 

心配した女性は一晩母親に付き添ったというが、とくに問題はなさそうだったので、翌朝帰宅した。

 

「あまりに腹が立ったので、弟に電話をしたんです。〈あなたも子どもなのだから、母の面倒を見てよ〉って…」

 

すると弟からは意外な言葉が返された。

 

「はぁ? 母さんは元気でしょ? 病気の話なんて聞いたことないし、いつもうちの子どもを気にかけて、いろんなものを送ってくれるよ?」

 

女性はうんざりした表情でうつむいた。

 

「私、本当に疲れました。突然の呼び出しに、会えば傷つくことばかりいう。でも、親ですから投げ出すわけにはいかないです。いっそ老人ホームに入ってもらえたら、たまに面会に行くだけで私も気持ちが楽になるのに…」

 

母親の年金は15万円だと聞いている。父親が亡くなったとき、3,000万円程度の預貯金が残っており、自宅とともに母親がすべて相続したというが、いまはどのくらいあるかわからない。もしそれらを使って老人ホームに入ってくれたなら…。

 

株式会社Speee/「ケアスル 介護」による調査によると、老人ホームの面会頻度として最も多いのは「月1〜3回程度」40.0%。「週1~2回」が25.2%、「2~3ヵ月に1回」9.2%、「半年~1年に1回」が8.8%。


 

「月1〜3回程度」「週1~2回」は、かなり頻繁な面会回数だと思うが、親からいきなり呼び出されるのと、子どもが自分の意思で面会に向かうのとでは、負担も大きく違うのだろう。

 

女性の心が休まる日は来るのだろうか。

 


[参考資料]

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』

合同会社serendipity『きょうだい格差に関する調査』

株式会社Speee/「ケアスル 介護」『どれくらい面会に行く?老人ホームの面会に関するインタビュー』

 

[参考資料]

 

 

 

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