7.リート
<現状>
●グローバルリート市場(米ドルベース)は、FRBによる利下げ観測が再び強まり、米長期金利が低下したことを受けて、反発しました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比+3.7%でした。また、円ベースのリターンは、為替効果が若干マイナスに寄与し、同+3.6%となりました。
●米国は、FRBの利下げ観測が再び強まり、長期金利が低下するなか、投資家のリスク選好姿勢が高まったことから上昇しました。欧州リートも米国につれて上昇しました。一方、日本は、長期金利が大きく上昇したことや需給悪化懸念が嫌気され、大きく下落しました。
<見通し>
●グローバルリート市場は、先行き米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。
●米国は、先行きのFRBによる利下げ開始や景気のソフトランディングを背景に上昇するとみています。欧州は、ECBの利下げ開始に伴い上昇するとみています。アジア・オセアニアは、景気の回復基調を背景に上昇するとみています。日本は、オフィス空室率や賃料の改善を背景に上昇するとみています。
8.まとめ
【債券】
●米国の長期金利は、当面もみ合いを続けた後、緩やかに低下すると想定しています。堅調な雇用情勢やインフレの高止まりを受けて、利下げ開始時期の先送りが警戒されるものの、年後半にFRBによる利下げが実施されると見込んでおり、徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。
●欧州の長期金利は、景気が停滞するなか、ECBが6月にも利下げに転じるとみられるため、緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、円安圧力が続いていることから、日銀の追加利上げや国債買い入れ減額が警戒され、やや上昇すると予想します。
【株式】
●米国株式市場は、インフレの下げ渋りがみられるなかでも、米景気のソフトランディングを前提とした適温相場が続くとみています。FRBによる利下げが先送りされる可能性や、大統領選挙、地政学リスクの不透明感などから変動性が高まる局面が想定されるものの、米景気のソフトランディングに伴い企業業績の拡大が見込まれることから、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。
●日本株式市場は、日本の名目GDP成長や製造業における景気循環の底打ちに伴う企業業績の拡大を背景に上昇すると予想します。日銀の政策変更に伴い長期金利は上昇傾向にあるものの、業績相場が続くことで下値は限られそうです。コーポレート・ガバナンス改革進展への期待に加え、自社株買いや新NISAの資金流入など良好な株式需給も相場上昇を支えるとみています。
【為替】
●円の対米ドルレートは、当面はもみ合い推移が続くものの、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると想定します。先行きはFRBの利下げ開始と日銀の利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。
●円の対ユーロレートは、当面レンジ内でもみ合うものの、先行きはECBによる利下げと日銀の利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
●円の対豪ドルレートは、当面レンジ内でもみ合うものの、先行きは豪州中銀の利下げと日銀の利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
【リート】
●グローバルリート市場は、先行き米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。
●米国は、先行きのFRBによる利下げ開始や景気のソフトランディングを背景に上昇するとみています。欧州は、ECBの利下げ開始に伴い上昇するとみています。アジア・オセアニアは、景気の回復基調を背景に上昇するとみています。日本は、オフィス空室率や賃料の改善を背景に上昇するとみています。
(2024年6月4日)
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
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