Xを活用することで「潜在」の掘り起こしが可能になる
事例を挙げてみましょう。「X」で(生産技術自動車)と検索してみます。ヒットした投稿からこの職種に従事しているのが確実だと思える人の発言を読むと「普段は自動車の設計をしている」とつぶやいています。その前後を読むと教科書の受け売りではなく、自分で意見を書いていることがわかります。時には「残業が何時間あった」という愚痴のような書き込みもあり、本人が書いていることに間違いないと判断できます。
このように検索で出てきた投稿で実際に従事しているであろう人物に接触する方法も有効です。これが特殊なキーワードだとマニアックに話が弾むこともあります。もしサーチ案件となった場合、最後はプロフェッショナルのTESCOが話をまとめます。これが「X」をエグゼクティブ・サーチに活用する方法です。
もうひとつ「X」で私が個人的に注目していることがあります。140文字という限られた文字数のなかで的確に自分の思いを言葉にできるというのは、能力を推し量るにあたって非常に読み取りやすいということです。短い文章にはその人のセンスが現れます。場合によってはインテリジェンスを推し量ることもできると思います。
もちろん「X」のアカウントを持っているからといって、すべてが何らかの意図を持って出てくるわけではありません。ダイレクトメッセージへのレスポンスが必ずしもすごく高いとは限らないのですが、私どももセンスを持ち合わせた丁重な文章を送りますので、先方も興味を持ってくれて、好意的な反応をしてくれることも多いのです。
これはまさに「潜在」の掘り起こしと言えるでしょう。目的のためにそこに現れてつぶやく人もいれば、何もなくとも潜在層へのアプローチを深めることで、他の「メディアに出てきていない潜在層」に独自の接触もできます。
これを手間暇のコストが掛かりすぎるから無駄だと考えるか、人が面倒がってやらないからこそ自分たちがやってみるのか、私どものようなゲリラ戦を得意とするエグゼクティブ・サーチとして価値があるのか、これについては評価がわかれるかもしれませんが、こうしたユニークな取り組みについても実践しているところです。
ほんの一例ではありますがエグゼクティブ・サーチという業務は、こうした時代に合わせたアプローチ手法を研究していくものだと思っています。
余談ですが私の「X」はあるテレビゲームのモチーフをアカウントにしていてエグゼクティブ・サーチとはまったく関係のない存在にしています。みなさまも遊び心を織り交ぜながら「X」をビジネスツールとして活用してみてはいかがでしょうか。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長