(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の「公的年金制度」は現役世代が高齢者を支える仕組みとなっているため、少子高齢化が止まらない日本では不満の声が聞かれることも少なくありません。しかし、公的年金は老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金など我々の「万が一」のときにも役に立つものです。具体的な事例をもとに、「遺族年金」の仕組みと受給できない場合の“救済措置”をみていきましょう。AFPの石川亜希子氏が解説します。

遺族年金のキホン…夫を亡くしたのに「受け取れない人」も

遺族年金も、老齢年金と同じように2階建ての仕組みになっています。1階部分が「遺族基礎年金」、2階部分が「遺族厚生年金」です。

 

遺族基礎年金は、被保険者に生計を維持されていた「子のある配偶者」や「子」に対して支給されます。「子」は、18歳(に達する日以後最初の3月31日までの間)の子ども、あるいは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子を指します。

 

また、国民年金加入期間の3分の2以上、国民年金保険料の納付済期間(保険料免除期間を含みます)があることが必要です(ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、直近1年間に保険料の未納がなければよいという経過措置があります)。

 

仮に夫が亡くなり、子のある妻が受け取る場合、具体的な受給金額は下記のようになります(令和6年度)。

 

81万6,000円 + 子の加算額(1人目および2人目の子の加算額各23万4,800円、
3人目以降の子の加算額各7万8,300円)

 

しかし、以前、筆者が相談を受けたAさん(50歳、女性)は、夫が亡くなったにもかかわらず遺族年金を受け取ることができませんでした。

悔やんでいます…50歳Aさんが「遺族年金ゼロ」のワケ

Aさんは、個人事業主の夫と中高生のお子さん2人をもつ4人家族です。本来であれば、月に10万円ほどの遺族基礎年金を受け取ることができます。しかし夫は生前、「俺は生涯現役だから、老後のことを考える必要はない」と、年金保険料を滞納していたのです。

 

Aさんは、「生活費はきちんともらっていたので、保険などについては任せっきりで……。まさかそんなに滞納していただなんて。悔やんでも悔やみきれません」と目に涙を浮かべ、後悔を口にしていました。

 

なお、2階部分の「遺族厚生年金」は、亡くなった被保険者の老齢厚生年金、報酬比例部分の4分の3の金額を受給することができます。

 

こちらは、被保険者に生計を維持されていた遺族に対して支給されるもので、子がいるかどうかは要件に含まれません

※ ただし、子のない30歳未満の妻の場合、遺族厚生年金の給付期間は5年間のみとなっています。

 

しかし、こちらは故人が厚生年金に加入している第2号被保険者であることが前提です。したがってAさんの場合夫は個人事業主(第1号被保険者)だったため、この遺族厚生年金も受け取ることができません。

 

では、Aさんは泣き寝入りするしかないのでしょうか。

 

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