(※写真はイメージです/PIXTA)

映画『男はつらいよ』でも語られなかった、本当につらい男の人生とは。下がる実質賃金、増える社会保険料。それでも一家を養うのは男の仕事と期待され、稼ぎがなければ結婚もできない。そんな男性の生きづらさを、書籍『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)の作者、トイアンナが語る短期集中連載。第1回目は「選ばれない男性の話」をつづります。

選ばれない「弱者男性」たち

「弱者男性」とは、インターネット上で生まれた用語で、日本社会のなかで独身・貧困・障害など弱者になる要素を備えた男性たちのことである。

 

取材・アンケートをもとに『弱者男性の人口』を推定したところ、日本には最大1,504万人の弱者男性がいることがわかっている。日本の男性人口は6,075万人であるから、男性の約24%が何らかの弱者性を抱えていることになる。

 

弱者になる要素として、書籍『弱者男性1500万人時代』では16カテゴリーに分類した。その一部を、ここに掲載したい。

 

<弱者男性に当てはまる要素の例>

・介護者
・虐待サバイバー
・容姿のハンディのある人
・貧困
・非正規雇用、無職
・コミュニケーション弱者

 

つまり、たとえ普通の生まれ育ちをしており、本人に何の責任もなくとも、家族に要介護者がいたり、DVの被害者だったりすると、それだけで弱者性を帯び、フルタイム就労が難しい環境へ追いやられてしまう。

 

弱者男性には、誰でもなりうるのだ。

 

そして、一度弱者男性のカテゴリに陥ると、えてして結婚相手としても選ばれにくくなる。
 

たとえば、30歳で年収1,000万超えのエリートであっても、顔やコミュニケーション能力に課題があれば結婚できない。家族に要介護の人がいても断られる。虐待サバイバーで、PTSDを抱えており、日常生活に支障がある男性は選ばれにくい。

少しでも“欠点”があれば「選ばれない男性」になりうる

2020年の国勢調査によれば、「いずれ結婚するつもり」と答えた若年男性は86%いる。にもかかわらず、男性の生涯未婚率は28%にのぼる。つまり、多くの男性は「不本意な理由で未婚」状態にある、選ばれない男性なのだ。

 

たとえば、筆者の友人にも、自他共に認める弱者男性がいる。性格は明るく、とても優しい。友達も多い。それでも結婚はできない。なぜなら年収が低すぎたり、家族に課題を抱えた人がいたり、発達障害があったりといったハンデを見せると、婚活で敬遠されるからだ。

 

これは、女性から見れば「当然」だろう。だが、かつては年収1,000万円以上であったり、 実家に資産があったりすれば 、こういった男性も成婚できたのである。

 

筆者は婚活相談にも乗ることが多いが、最近は男女問わず相手に少しでも欠点があると「いい人なんだけど、やっぱり結婚しないほうがいいかもしれない。どうしよう」と相談されるケースが増えてきた。

 

自由意志で結婚する・しないを選べる女性にとって、難がある男性との結婚は「しないで独身でいたほうがマシ」なのである。筆者も女性であり、経済的に自立しているからこそ、それを否定するつもりはない。

 

だが、選ばれなかったかれらは、どうしようもなく孤独である。 そして、「妻」以外で中年男性の孤独を埋めてくれるコミュニティが、日本には限定されている。弱者男性は男性コミュニティからも阻害され、不審者扱いされるからだ。

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弱者男性1500万人時代

弱者男性1500万人時代

トイアンナ

扶桑社

週刊SPA!連載の「弱者男性パンデミック」に大幅加筆修正を加えて新書化! データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在。 「お前はお前を愛せない、女もお前を愛さない。 それだけで人生はこんなにも過酷だ」 配信者…

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