相続をする地主にとって、非常に影響が大きい「不動産価格」。変動する価格を目前に、どのような相続対策を進めていけばいいのでしょうか? 本記事では、地主の相続における不動産の価格変動の注目ポイントを、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。
定期的に不動産の相続評価を
相続にあたって死亡者数に対する課税件数(課税件数割合)が約10%(10人に1人)となっている。平成27年からの基礎控除の改正により課税件数割合は大きく上昇したが、その後も右肩上がりに増えている。
また、相続税収も同様に増えているが、この構成要素を考えると死亡者数の増加(図表7のとおり死亡者数は年々増加傾向)はさることながら、金融資産の増加、不動産の相続評価の増加が影響しているものと思われる。
今後も不動産価格の上昇に伴い課税件数割合は増えていくものと思われる。
前述のとおり、公示価格は右肩上がりであり数年前に相続税試算を行っていたとしても直近において再度試算した相続税額が異なっている可能性が考えられる。所有不動産は金融資産と比べて価格の変動が見えにくい(たとえば預金や株式などの金融資産であれば、いつでも目視可能)。
したがって、昨今の不動産上昇局面においては定期的に所有不動産の相続評価を実施しておくことが大切である。
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ティー・コンサル株式会社
代表取締役
不動産鑑定士
1級ファイナンシャルプランニング技能士
1978年東京都出身。中央大学経済学部卒。
大学卒業後、不動産鑑定業者にて鑑定業務、不動産ファンドビジネスに従事。その後、金融の視点から不動産の価格形成を理解するため銀行(三井住友銀行)へ転職。融資業務、与信管理業務、アセットマネジメント業務(出向先にて)に従事したのち、個人富裕層向けコンサルティング業務に従事。アパートローン融資、資金運用、税金対策、遺言作成など承継対策業務を幅広く経験。その後、横浜銀行に転じ本部所属のうえ担当地区内のコンサルティング能力向上、富裕層取引の拡大などで貢献し頭取表彰も受賞。2022年にティー・コンサル株式会社を創業。金融に精通した不動産専門家として、多くの資産家(地主・経営者)や専門家(弁護士・税理士)からの相談を受けオーダーメイド型の問題解決を行っている。また、不動産鑑定士として銀行、税理士、上場企業などから依頼を受け不動産評価にも取り組んでいる。
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連載「メガ・大手地銀出身の不動産鑑定士」だから語れる…アパートローンの最新事情と銀行の舞台裏