(※写真はイメージです/PIXTA)

将来が不安な時代、子供にはいい教育を受けさせたいという家庭も多いでしょう。しかし、いい教育には、当然お金がかかるもので……。本記事では大内さん夫婦(仮名)の事例とともに、リタイア世代の教育費の援助における注意点について、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

子供に大人の都合で環境を変えることは避けたいが…

大内さんの問題点は、際限なく娘夫婦の生活費を援助してしまったことにあります。一時的に大変な状況を助けてあげたくなるのもいいですが、自分たちの生活資金を失ってしまっては本末転倒です。

 

せっかく入学した小学校を親の都合で転校させたくないという気持ちも理解できます。しかし、親の経済事情が変わっても維持したほうがいいかどうかという点を考えるべきでしょう。

 

基本的に子供に掛かるお金は親が責任を持ち支払うものです。もしも子供を転校させたくないのであれば、親である娘夫婦が自分たちでお金を借りるなど、用立てて子供を学校に通わせるということもできたことでしょう。

 

残業が減って収入が減ってしまったのであれば副業をするなどで家計を支えるという選択肢もあり、祖父母である大内さん夫妻が無理をして自分たちの生活を犠牲にしてまで援助する必要もなかったかもしれません。

 

娘夫婦にはほかにできることがありました。葵ちゃんに変わらず教育を受けさせたいのならば、なにをしたら実現できるのか、しっかりそれを可能にする計画が不足していたといえます。

 

援助を行う前に考えるべきこと

まず原則として、自分たちの子供といえども娘夫婦はすでに世帯を持ち、独立した大人です。自分のことは自分でなんとかするというのが大前提にあるべきでしょう。

 

困ったときに手助けしてあげるのもいいでしょうが、今回のケースにおいては、お金を渡しても根本的問題の解決にはまったくなりません。自分たちの生活設計をしっかり考えたうえで適切な金額にすべきで、感情的に判断せずに本当に援助が必要なのかを考慮したうえで行動に移す必要がありました。無計画なお金の使い方は親子ともに似ているのかもしれません。

 

また、娘夫婦を援助したいのであれば、自分たちも働いて収入を得るという選択肢もあります。手持ちのお金がなくなってから狼狽えるではなく、現状を踏まえて今後の方向性について家族間で話し合い、方向性を擦り合わせたうえでしっかり生活が成り立つように計画的に行動していけば大事な老後資金を失わずに済んだことでしょう。

 

どうすべきなのか、正解は人それぞれですが、現状を踏まえ、援助を行う計画的に行動していくべきだったといえます。

 

 

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