フィリピンの最新農業政策動向…農産物輸入規制を緩和、物流力強化
マルコス大統領は、食料価格の高騰を受けて農産物の輸入規制を緩和する一方、農家の所得向上を支援するため、ルソン島南西部のミンドロ島に太陽光発電による冷蔵施設などの収穫後施設を整備すると発表しました。今年中には同州に1,400トン収容の太陽光発電冷蔵施設が2ヵ所設置される予定です。また、2024年度の国家予算では、同州にさらに5ヵ所の新設が計画されています。
農業大臣は、供給問題に対処するため、冷蔵トラックの配備や食肉処理場の増設にも取り組むとしています。貯蔵施設と融資制度の連携も重要です。農家が収穫物を貯蔵して価格が上昇するのを待つ間、融資を受けられるようにするためです。また、いうまでもなく効率的な物流網の構築が重要となります。
ミンドロ島は国内有数のタマネギ産地で、今年は生産量が60%増える見込みです。このような状況を受け、マルコス大統領は先週、農林水産省、貿易省、財務省に対し、輸入手続きの簡素化と非関税障壁の撤廃を指示する大統領令を発しました。非関税障壁とは、輸入割当制度や輸入許可制度などのように、関税以外の規制のことを指します。
一方、フィリピンエルニーニョ対策タスクフォースは、食料供給を安定させるための追加の農産物輸入は当面必要ないとしています。ただ、主要農産物の生産状況を注視しており、必要に応じて輸入を行う可能性はあるとしています。
エルニーニョ現象による極端な暑さは一部の農産物に影響を与えていますが、米の供給は安定しています。エルニーニョの影響で66,000ヘクタール以上の水田やプランテーションが被害を受けましたが、そのうち78%は回復の可能性があるということです。政府は干ばつに見舞われた複数の地域で、約74,000人の農家や漁民らに計約11億ペソの支援を行ったとしています。