今回は、相続トラブルの火種になる「不動産の相続財産評価」についてお伝えします。※本連載では、いまや誰にとっても巻き込まれてしまう危険性がある相続トラブルについて、具体的にどのような事態が発生する可能性があるのかを見ていきます。

相続する財産に不動産が含まれるケースは多いが・・・

一般的に、相続する財産に不動産が含まれている場合には、そうでない場合に比べて相続トラブルが発生する可能性がより高いといえるかもしれません。不動産は資産価値が高いことに加えて、その資産の評価方法等をめぐり複雑で解決が困難な問題に直面することが多いからです。

 

遺言の有無に限らず、不動産を含む相続財産の評価は、まず相続税の申告を依頼した税理士に委ねることが多いです。税理士事務所では、相続財産を調査し、各相続税評価額を算出したうえで相続税を計算します。

土地の相続税評価そのものが疑わしいケースも

ここで注意が必要となるのは、本来の土地の「時価」と、相続税評価額を検討する際に問題となる「時価」とは異なるということです。「時価」という言葉を聞いたり、あるいは目にするとすれば、寿司屋に入った時に価格表に「大トロは時価」などと記載されている例が思い浮かぶ人も多いでしょう。この場合、「時価」は市場価格と同義であり、言い換えれば市場に売りに出して売れる金額であり、そのときの値段を指しているといえます。また、オークションで絵画や骨董品の取引を行うような際に、売買が成立した時の値段も「時価」といえるかもしれません。

 

しかし、このようなケースでは、ある人は「1万円なら買う」という意思を示しますが、別のある人は「100万円でも買う」というように、イメージとして「時価」といっても人によって大きな開きがあります。

 

このように「時価」とは意味を定めがたいものであるため、相続税法における土地などの相続税評価については財産評価基本通達の定めによる評価額、具体的には路線価格をもって、そのときの時価と認めているのです。

 

率直に言って、この相続税評価額として算出された土地の評価額そのものが怪しげな、疑わしいケースもあります。また土地に関する相続税評価額算出には、複雑多岐にわたる減額規定などの知識が必要とされ、素人考えで勘所を誤ったアプローチをしてしまうと、税務上で天国と地獄ほどの大きな差が発生し、税負担の増大につながる要因となる恐れがあります。

本連載は、2014年3月22日刊行の書籍『相続争いは遺言書で防ぎなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続争いは遺言書で防ぎなさい 改訂版

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大坪 正典

幻冬舎メディアコンサルティング

最新事例を追加収録! 「長男だからって、あんなに財産を持っていく権利はないはずだ」 「私が親の面倒を見ていたのだから、これだけもらうのは当然よ」……。 相続をきっかけに家族同士が憎しみ合うようになるのを防ぐ…

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