高齢者「最期は自宅で」45%、「孤独死を身近に感じる」48.7%
65歳以上の男女を対象に内閣府が行った『令和5年度 高齢社会対策総合調査』。この調査項目のなかに、「万一、治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいですか」という質問がある。全体の回答は、下記の通りだ。
「最期はどこで迎えたいか」
自宅…45.8%
病院・介護療養型医療施設…36.3%
特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの福祉施設…8.3%
サービス付き高齢者向け住宅…2.6%
今は別居している子・親族などの家…3.0%
最多は「自宅」の45.8%。男女別では、男性52.2%、女性40.1%と、12%近い差が開いている。平均寿命や配偶者との年齢差を勘案すると、男性の場合は、妻をはじめとするだれかに見送ってもらうことを前提に回答していることをうかがわせる。一方の妻は、夫を見送ったあとを思い浮かべ、子どもに迷惑をかけないように…という思いがあるのかもしれない。
ちなみに、孤立死について身近に感じるかを聞いたところ、全体で「あまり感じない」(36.5%)が最も高く、「まったく感じない」(13.0%)と合わせた「感じない(再掲)」は49.5%という結果になった。これに対し、孤独死を身近に「感じる(再掲)」(とても感じる14.4%+まあ感じる34.3%)という回答者も48.7%となり、両者はほぼ拮抗している。
孤独死を身近に感じるとしたのは、結婚したことがない者(68.8%)、配偶者あるいはパートナーとは離婚している者(64.9%)が高かった。 子どもの有無(同居、別居別)でみると、子どもがいない者は「感じる(再掲)」(70.0%)が高く、7割を超えている。 同居者でみると、同居者はいない者は「感じる(再掲)」(73.4%)が高く、7割を超えている。 家庭の1ヵ月の平均収入額でみると、家庭の1ヵ月の平均収入額が20万円未満は「感じる(再掲)」が5割以上と高くなっている。
配偶者や子どもがなく、収入が低い人ほど孤独死を身近に感じていることが分かる。
高齢者は持ち家率高し…「最期は自宅で」と思うのも当然か
しかし当然だが、自宅で最期を迎えるためには「自宅」と「看取ってくれる家族」がなければならない。そこで高齢者たちの住宅事情を見ると、圧倒的に持ち家が多いことが分かる。
「高齢者の現在の住居形態」
持ち家(一戸建て)…76.2%
持ち家(分譲マンション等の集合住宅)…8.3%
賃貸住宅(民営のアパート・マンション)…5.9%
賃貸住宅(公営・公社・UR等の集合住宅)…4.5%
賃貸住宅(一戸建て)…2.4%
高齢者向け住宅…0.4%
安心して過ごせる自宅をがあるなら、そこから旅立ちたいと思うのも自然だろう。
一方で、家無しリスクのある高齢者「全国に7万人」
ひるがえって、賃貸派の高齢者の実情を見てみよう。賃貸派にとって、なにより大きな不安は「家なしリスク」だろう。
「65歳になってから今までに入居を断られたことがありますか」の問いに、「ある」と回答したのは1.5%とかなりの少数派だが、これは決してスルーしてOKな数字ではない。
2023年9月15日現在、日本の高齢者は推計で3,623万人。賃貸派は12.8%から計算していくと、実数は463万7,440人。そのうち「借りたくても借りられなかった」という経験のある高齢者は全国で7万人にも及ぶ計算だ。
そこからさらに収入別にみると、月10万~15万円未満では1.0%なのに対し、月5万~10万円未満では5.6%、月5万円未満では7.4%と、収入が少ないほど断られる率が上がる。ここから考えると、年金5万円未満では13人に1人の割合で「家なしリスク」に直面することになるといえそうだ。
年金10万円未満で跳ね上がる、高齢者の家なしリスク。低収入が審査の通過を難しくしているなら、いっそ生活保護に頼るという手もあるだろう。
たとえば東京23区の場合、生活扶助基準額は7万6,880円、住宅扶助基準額が5万3,700円。合計の生活保護費は13万0,580円。仮に年金月5万円で、貯蓄も最低生活費以下、十分に働くこともできないと判断されたら、差額となる月8万円ほどの生活保護費を受け取れる可能性があるのだ。収入面の懸念から「家は貸せません」と謝絶した大家も、生活保護を受けることで収入が安定した高齢者であれば「貸りてください」という対応へと変化するかもしれない。
[参考資料]
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