「完全雇用状態」にもかかわらず、膨張する財政赤字
米国の需要過熱を招いているあと1つの要因、財政についても一瞥しておく必要がある。[図表8]は戦後の失業率と財政赤字(対GDP比)の推移であるが、コロナパンデミック以降、両者の関連がまったくなくなっていることに留意するべきである。
かつては財政赤字は失業率が高まったときに、需要創造手段として繰り出されたために両者はほぼ完全に連動していた。しかし2021年以降完全雇用状態が続いているのに、財政赤字が減る気配はまったくない。議会予算局(CBO)は対GDP比5~6%の主要国最高水準の財政赤字が2034年まで定着すると予想している。
メディケアなど高齢者向け支出の増大や、Chips法、IRAなどの産業支援、GX/DX対策などが目白押しで、大きな政府が定着しそうである。
新産業革命は生産性の向上と供給力増大をもたらす。よって相対的需要不足が予想され、それへの対応策として創造的財政政策が求められている。最近の米国財政赤字の膨張は。このような財政の役割の歴史的変化を確認させるものである。
まさにイエレン財務長官が主唱する高圧経済環境が続くのであるが、それは金利上昇による利払い費の増加等のリスクを伴う。
また需要超過気味の経済のファンダメンタルズにおいては、容易にインフレやバブル経済に陥る危険性もある。政策運営に慎重さが求められる場面に入ってきたのかもしれない。米国金融市場におけるリスクテイクにも、警戒が必要となっている。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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