“好調すぎる”米国経済を生んでいる要因とは
利下げ期待が低下してきた。FRBが1月のFOMCで打ち出した今年3回利下げ予想は、市場においては大きく修正されている。市場は1回と見込み始め、並行してドル高傾向が強まっている。
まさしく”Good news is bad news, bad news is good news”、このままいけば経済が過熱し、インフレと資産バブルに繋がりそうな米国景況をどうすれば減速できるか、FRBは思案しているといえる。
経済のアクセルとなっている3要因がある。第一は新産業革命による企業の旺盛な価値創造、第二は財政拡大、第三は株高による資産効果である。このうち新産業革命と財政拡大からくる景気加速要素は当面変化しない。
となると、有効なブレーキは株価の抑制による総需要の冷却以外にない。FRBは利下げ遅延を余儀なくされるとみられるが、その狙いは株価など資産価格抑制によるリスクテイク意欲の調整にある、と考えるべきかもしれない。年初急騰した米国株式はしばし調整場面を迎えそうである。
利下げ遅延を余儀なくさせる「株式資本主義」
なぜ株式などの資産価格がFRBによる総需要コントロールに必須なのかというと、いまの米国経済の循環は株式市場を中心に営まれているからである。いわば株式資本主義である。
[図表5]は過去70年間の米国における信用創造(信用残高/GDP)の推移を見たものであるが、2008年のリーマンショックまで続いた民間の債務信用拡大の時代は終わり、政府信用も限定的で、この14年間は株式時価総額が対GDP比69%から240%まで拡大することで、株式一極けん引の需要創造が進行してきたことが明らかである。
この株式信用増加(=株価上昇)は、企業の儲けがほぼ80%株式市場に還元されるというマネーフローが定着したことによって正当化されている(図表6参照)。
銀行の先に借り手はいないので、銀行融資をコントロールすることで総需要を制御するというかつての中銀の金融調節は威力を失った。代わって資産価格が総需要に影響を及ぼす時代となり、FRBはその手段としてQEを導入したのである。いわば株式資本主義の時代といえる。
株式が金融市場の中枢の位置を占めるようになったことで、株価の大幅な下落は、かつてとは比較にならないほど大きなダメージを経済に与える。バブル崩壊は大不況を引き起こすので、絶対避けねばならない。FRBはバブル化回避、適正株価の維持に専心する必要がある。
割安感は皆無…近づく“危険領域”
[図表7]にみるように、金利との比較でみれば(FEDモデルで見れば)いまはバブルではないとしても、割安感はまったくなくなった。過去20年間、金利が低下していくのに対して株式益回りは高止まりし、両者が大きく乖離して株式が著しく割安であったが、その時代は終わった。
4月12日の時点での米国の妥当株価は、S&P500指数で5,352ドル、実際の4月12日S&P500指数は5,153ドルであったから、両者はほぼ同一となった。
今後FRBのインフレ抑制能力に疑問が高まったり、米国財政赤字に対する懸念が出て長期金利が急騰すれば、株価は直ちにバブルと判定される危険領域に近づいている。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!