常に「最悪の事態」を想定して行動することが大事
当たり前のことだけれども、投資を行うには、資金にある程度の余裕が必要だ。投資はギャンブルではない。マイホームの住宅ローンがあってもキャッシュフローに余裕があれば投資を行ってよいが、自分の取れるリスクの範囲内で投資に臨むべきだ。
なけなしの全財産を全部つぎ込むのもNG。リーマンショックの前の数年は株価が上がっていたから、主婦や若者も、お金をかき集めて株を買いあさっていた。それが、バブルがはじけて一気に株価が下がり、全財産をなくしてしまった人も少なくない。
いくら自分の読みが正しいと思っても、常に最悪の事態を想定して行動することが大事だ。そして、投資にまわす金額は、あくまで余裕資金にとどめておくようにしよう。投資は経験がものをいう世界だ。はじめは慎重に、安全すぎるぐらいでもよい。
失敗する人は「失敗するだけの理由」がある
私は、金融機関の家に生まれた。子供のころから、投資や事業に失敗した人たちを大勢見てきている。だから、正しい投資をしたからといって成功するとは限らないが、失敗する人は、みんな失敗するだけの理由があることを知っている。だから、投資を見る目、お金を見る目が、人一倍厳しいのかもしれない。
私のもとには、毎日、投資話が舞い込んでくる。でも、どんなに少額でもリスクとリターンを厳しく吟味するし、かならず現地を視察するようにしている。どんなによさそうに見えても、かかわっている人が信用できなければ、絶対に投資をしない。だから、実際自分が投資したり、みなさんに紹介したりする案件は数えるほどしかない。
もっと手広く扱えば儲かるのに、と言われることもある。確かに短期的には儲かることもあるかもしれないが、そうするとバランスを崩すことになる。
長期にわたって安定的に資産を増やすには、一度決めた投資スタンスを守り抜くことが大切だ。