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「相続は事前に話し合わないと、9割が揉める」……裁判沙汰にならないまでも、遺産を巡って不仲になる、遺産分割以外にも介護、お墓に関するトラブルなどが発生することを考えると、9割という数字は決して大袈裟なものではありません。司法書士兼行政書士である太田昌宏氏の著書『円満相続のための 家族会議の始め方』(メディアパル)より、一部抜粋して紹介する本連載。太田氏が、司法書士ならではの視点から、トラブルを未然に防ぎ、円満な相続を実現するための家族会議の方法を、できるだけ分かりやすい表現を用いて解説します。

孫に直接贈与する方法も

子のほかに孫がいる場合、孫に直接贈与する方法もあります。子は相続人なので贈与したあと7年以内にあなた(被相続人)が死亡した場合は相続財産に加算され、相続税の対象となります。

 

しかし、子がいれば孫は相続人ではないので、あなたが死亡した場合でも、相続税の対象となりません。すべての孫に対して均等に贈与しないと子の間でトラブルになりかねないので注意は必要ですが、相続対策のひとつとして考えられるので、活用を検討してよいかもしれません。

 

ただし、税の制度は変わることもあるので、専門家に相談してアドバイスをもらいましょう(参照:【図2】)

 

【図2】

家族の負担を軽くするには

相続に関して、かかる費用の多い少ないを問題とせず、「財産を生前にきちんと引き継いでおきたい」と考えている人もいます。

 

「贈与にかかる費用を自分で負担し、子どもにきちんと引き継ぎたい」「あとでもめるのがいやだから、生前に決着をつけたい」などの理由です。

 

私が実際に関わった例で、夫が妻よりかなりの年長で、子がいないケースがありました。夫が「(自分が先に亡くなるだろうから)妻に相続の手間や税金の心配をかけさせたくない。安心して家に住んでもらいたい」と考え、生前に名義を変えました。遺言で妻に土地と建物を相続させれば結果は同じですが、手間のかかる名義変更の手続きを生前に行い、妻の負担を減らしました。

 

手続き前に税理士に計算してもらったところ、夫婦間贈与なので配偶者控除が使え、贈与税もかからずにすみました。費用でみれば相続のほうが安くすみますが、理由が明確なら、生前の名義変更を検討してよいと思います。

 

 

実際、死後に(相続が生じてから)手続きをする場合は、手間がかかります。たとえば、生前に本人が銀行口座を解約するのはかんたんですが、相続手続きで行う場合は、被相続人の出生からの死亡までの戸籍や窓口に来た人との関係がわかる戸籍謄本などが必要となり、手間が一気に増えることになります。

 

 

太田 昌宏

司法書士・行政書士

 

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円満相続のための 家族会議の始め方

円満相続のための 家族会議の始め方

太田昌宏

メディア・パル

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