(※写真はイメージです/PIXTA)

日本政府も背中を押す、貯蓄から投資へのムーブ。投資家デビューする人も続々と増えていますが、目的意識を持って取り組まないと、思うような結果は得られません。投資のつもりがバクチになり、悲惨な結果に追い込まれることも…。投資もバクチも大好きな経済評論家の塚崎公義氏が、投資で着実な収益を得る基本とともに、株をバクチ的に楽しむヒントを伝授します。

儲けるための投資か、リスクを避けるための投資か

株式投資をする人は、目的をしっかり決めることが重要です。リスクを避けるための投資なのか、儲けるための投資なのか。短期投資なのか、長期投資なのか。

 

筆者は、投資を2つに分けて管理しています。ひとつは老後資金の運用、もうひとつは小遣いでのバクチです。カジノに老後資金を持っていく人はいないでしょう? それと同じことです(笑)。

 

老後資金の運用で重視しているのは「預金はインフレに弱いリスク資産だから、インフレに強い株や外貨を持つことで、最悪の事態を避けることができる」という分散投資の発想です。

 

預金と株と外貨の比率は、各自がインフレをどれくらい恐れているかで決めればよいと思いますが、筆者は「少子高齢化による労働力希少で賃金が上がり、インフレになる可能性」「南海トラフ大地震で激しいインフレになる可能性」への備えとして、株と外貨のウエイトを高くしています。

 

具体的には、内外株式の投資信託の積み立て投資をすることで、株や外貨を持つのと同様の効果を狙っています。投資信託であれば、値上がりする株も値下がりする株もあるでしょうし、積み立て投資であれば高い時も安い時も買うので、大儲けは狙えませんが、大損のリスクも小さくなりますから。

 

投信の積み立て投資をして長期に保有する長期投資ですから、後述のように、企業が生み出す価値の分け前にあずかることを目的としているわけです。

 

小遣いで行うバクチについては、後述します。

短期投資はバクチ…儲けるヒントは「投資家たちの行動を予想する」

企業の価値は短期間では変動しませんが、株価は短期間で変動します。その理由は「人々が値上がりを予想して買い注文を出すと、実際に株価が上がるから」なのです。ケインズはこれを「美人投票」に喩えましたが、美人投票の話は別の機会に詳述します。

 

問題は「人々の値上がり予想をどう予想するか」です。特別な能力のある人は別として、これは大変難しいことです。別の面から見れば「上がると思うプロたちが買い注文を出し、下がると思うプロたちが売り注文を出した結果として成立しているのがいまの株価」ですから、初心者が上がるか下がるかを予想するのは困難だということでしょう。

 

これでは、カジノでルーレットをするのと同じようなものでしょう。もっとも、胴元の取り分が少ないことなどから、カジノよりは期待値が高い(儲かる確率が高い)ので、バクチが好きな人は試みるとよいかもしれません。

 

もし試す場合は、真実を知ることより「投資家たちの行動を予想する」ことを心がけましょう。たとえば、AIの将来は暗いと考えていても、人々がAIブームに浮かれているなら「急いでAI関連株を買い、人々がAIに失望する前に売り抜けよう」といった行動のほうが「AIの将来は暗いから、株は買わない」という行動よりも、利益を得られる可能性は高いでしょう。

「企業の生み出す価値」の分け前にあずかるのが、長期投資

企業は株主と銀行から資金を調達し、労働者を雇い、材料を仕入れて製品を作って売ります。売値と仕入値の差は「付加価値」と呼ばれ、労働者への賃金、銀行への利子支払い、株主への配当支払いというかたちで分配されます。残った部分は「内部留保」になりますが、これも株主のものですから、株価を押し上げる力として働きます。

 

長期投資はこのように「企業が生み出す価値」を「配当」や「内部留保増」による値上がり益というかたちで得ようとする行為です。その際には、真実を追求することが重要です。「この会社は10年後も利益を稼いでいるだろうか?」ということが最も重要です。日本株投信であれば「日本企業は~」ですし、「日本経済は順調だろうか」ですね。

 

投資家たちが当該企業をどう見ているかは重要ではありません。投資家たちの見方は変化するからです。むしろ、10年後もしっかり稼いでいそうな企業に対して投資家たちが冷たい目で見ているとしたら、株価が割安に放置されている可能性が高いので、「いま買って10年持っていれば儲かりそうだ」と考えましょう。

 

ちなみに、長期投資でバクチをすることも可能です。筆者は賭け事が好きなのですが、短期投資で「ルーレットの予想をする」のは気が進まないので、長期投資でのバクチをしています。具体的には「株価が10倍になるか0になるかわからない」という新興ハイテク株を買うのです。

 

長期投資ですから、バクチであっても真実を追求することが重要です。「この会社は10年後には立派に成長しているだろうか? 倒産しているだろうか?」ということを考えるのです。ほかの投資家がこの会社をどう見ているかは、重要ではありませんから。

 

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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