バブル世代の非正規…父の静かな怒りの理由
バブルが弾ける前の日本の景気がよかった1980年代にも非正規雇用者が急増したことがあります。若者が「新人類」と呼ばれていた時期で、非正規雇用者も一般的には「フリーアルバイター」と呼ばれていました。
厚生労働省「平成25年版 労働経済の分析 第3節 構造変化と非正規雇用」によると、
1985年から1990年にかけて、正規雇用が145万人、非正規雇用が226万人増加した。
正規雇用は男性が89万人増、女性が56万人増となったのに対し、非正規雇用は男性が48万人増、女性が176万人増となった。
1985年、1990年ともに非正規雇用の約8割はパート・アルバイトであった。
とあります。当時の各新聞には、
「当世アルバイト事情 ほとんど本業、末はフリーかオーナーか」
「新人類志向 フリーアルバイター 学校出ても定職につかず」
「会社拒否ヤングが急増 面白いアルバイトで 求人情報誌の3,000人調査」
といった見出しも並び、当時の世相が見受けられます。
当時のフリーアルバイターには、マスコミ関係や芸能人、いわゆるカタカナ職業(カメラマンなど)を志す若者が大半で、アルバイトでなければ仕事が見つけにくい状況だったことから、アルバイトをしながらチャンスを待っている人たちが多かったようです。
ほかにも、最終的な職業の決定は後回しにして若いうちはやりたいことをやるという考えも広まりました。実際、冬場だけペンションなどでスキーのインストラクターのアルバイトをし、あとは好きなことをして過ごすという人たちもいたのです。
しかし、当時のアルバイトは時給も高く、なかにはサラリーマンの初任給以上の収入を得ているアルバイターも決して少なくなかった、といいます。
現在の非正規とは違う面も多いですが、好きな道で成功した人や独立した人もいる一方で、その後のバブル崩壊で職を失ってしまった人もいたでしょう。斉藤さんのご両親は、こうした時代の明暗を見てきたからこそ、可愛い娘の将来が心配なのだと思います。
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