若年化する「早期退職」
早期退職勧奨の対象年齢が若年化しているのをご存じでしょうか。早期退職制度は10年ほど前からありましたが、当時は50代半ば以降の定年退職まであと数年といった社員が対象でした。
しかし、このごろは対象年齢が40代まで下がっているようです。有名な大企業でも一般社員を含めた40歳以上、または40代を早期対象の対象として募集を実施しています。
今回は、40代で早期退職した2人のケースをご紹介します。
※お二人の了解を得て一部脚色して記載しています。
退職金上乗せの早期退職募集で転職を決意した43歳・Aさん
大手メーカーで課長職を勤め、月収62万円だった43歳のAさん。会社の早期退職募集により上乗せで退職金約1,500万円を提示され、「もう辞めてしまえ!」と勢いもあって早期退職に踏み切ることにしました。
「課長といっても上と下に挟まれて気苦労も多かったし、会社も定年退職まで居られる雰囲気でなくなってきました。調べて知ったんですが、自己都合退職の場合、40代の平均退職金は726万円~1,143万円*らしいので、1,500万円なら納得できると思いました。同期入社で転職した人間もいましたので、自分も年齢的に最後のチャンスかな、と応募しました。会社はグループ会社を紹介してくれたのですが、収入も下がるし、気分を一新したかったので自分で探すことにしました」
Aさんは結婚していましたが子どもはなく、奥さんも正社員として働いていたため、あまり深く考えずに退職を決断します。
しかし、その後なかなか希望の勤務先も決まらず、年収も妥協してやっと再就職できたのはよかったのですが、前の会社での経験が通じず、新しい就職先の仕事のやり方に対応するための柔軟性もなかったことから周りの社員との溝は深くなる一方です。ついには自信も無くなり、奥さんにも頭が上がらなくなりました。
「早期退職でよかったのは、住宅ローンの繰り上げ返済ができたことだけですね。前の会社にいたときに転職の準備をもっとしっかりしておけばよかった、と反省しています。自分がなにをしたいのか、どんな会社に入りたいのかといったビジョンがあまりなかったと思います」
終身雇用制度が崩壊し、転職希望者も増え続けています。下記のグラフによると、正規社員の転職希望者は男女とも年々増加しているのがわかりますが、希望の転職を実現した人は3割にも達していないことがわかります。
内閣府は、
としています。さて、転職サイトなどは増えていますが、理想の転職を実現できる人はなかなかいないようで、「働くこと自体がストレス」「趣味等に好きなだけ時間をかけたい」という人などは「不労所得での生活」に興味を持つようです。