(※写真はイメージです/PIXTA)

マイホームを購入したものの、コントロールできないのが市場価値。しかし、「今後価値が下がる可能性の高いエリアを予想することはできる」と、住宅ローンに詳しい公認会計士の千日太郎氏は言います。千日氏の著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より、詳しくみていきましょう。

購入後に「建物の価値」を維持する方法

不動産の価値は土地と建物によって構成されます。所有者は、建物を維持するための費用を払うことになります。その費用の発生の仕方については、マンションは管理費と修繕積立金で毎月支払いを続けていくのに対して、戸建ては必要なときにまとめて払うという違いがあります。

 

マンションの場合は、1ヵ月のm2あたりの管理費単価を216.43円(2011年不動産経済研究所首都圏マンション管理費調査)とし、m2あたりの修繕積立金単価を218円(平成23年国土交通省マンションの修繕積立金に関するガイドライン)と仮定すると、60m2の物件で毎月2万6,066円となり、30年間で約938万円となります。

 

一方で戸建ては、外壁塗装や屋根塗装、クロスの張替えなど、必要になるたびに数十万円から100万円程度の修繕費がかかります。一般的な相場をベースとして30年間で集計すると約700万円前後となります。

 

ただし、戸建ては古くなっても必ずしもメンテナンスするとは限りません。マンションに比べると意思決定が家族だけでできるので、建物の状態を見ながら維持にかける費用の調整がしやすいです。

 

これに対して、マンションは適正な長期修繕計画に従うと数年ごとに修繕積立金が上がっていくことが通例です。売り出しのときの修繕積立金の金額は売るために過度に安く設定されているのです。購入後はマンションの所有者で構成される管理組合で話し合って、修繕積立金を上げていくことになります。

 

修繕積立金が上がっていくのは損な感じもしますがマンションの価値を維持していくのに必要な費用なのです。そして、それは自分の力の及ばないところで勝手に決まるのではなく、自分もまた、管理組合のメンバーとして発言する権利、議決権を持っています。

 

マンションのコミュニティー=管理組合のレベルは貨幣単位では測定できませんが、適正な修繕計画を立案し実行してマンションの耐用年数を延ばすことが出来るかという面で善し悪しがあります。住人がまとまらず、計画通りに修繕できないと建物の寿命が短くなってしまいます。

 

コミュニティーの価値を上げましょう。そのコツは一人一人がマナーを守り、互いに挨拶をし、管理組合の総会に出席することです。住民が管理組合の意思決定に主体的に参加することで、その価値は上がります。これがコミュニティーの価値を上げるコツであり、ひいてはマンションの市場価値を上げることにもつながります。

 

 

千日 太郎

オフィス千日 代表社員

 

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※本連載は、千日太郎氏による著書『住宅破産』(エムディエヌコーポレーション)より一部を抜粋・再編集したものです。

住宅破産

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千日 太郎

エムディエヌコーポレーション

日常の家計収支の面では賃貸も住宅ローンも同じです。住宅ローンを滞納すると、住宅を手放さなければならなります。マイホームの使用価値を享受するために所有者が払うリアルな金額は毎月の住宅ローンの返済額です。マイホーム…

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