木造の物件はキャッシュフローの面ではオイシイが…
余談になりますが、銀行からの借入額を多くするかどうかは、キャッシュフロー以外にも、その人の戦略として、安定性をどれだけ追い求めるかどうかにもよります。頭金を多く入れれば毎月の返済が少なくなるので、キャッシュフローがマイナスになるリスクは少ないわけです。
また、資金不足になったら銀行がお金を貸してくれるかというとそうではありません。こうした後ろ向きの融資には消極的です。
一般に借りられるのは、物件を買うとき、建物を建てるとき、改装するときです。ですから、借りられるときには多めに借りておいて、キャッシュを別に置いておくというのも、立派な将来のリスク対策です。
さて、木造の物件は一般的に銀行の評価が低くて融資が受けづらいですが、キャッシュフローの面ではオイシイわけです。逆にRC造の物件は毎年の減価償却が木造と比べると取りにくく、キャッシュフローのうまみはありませんが、銀行の評価は高くて融資が受けやすい。こうした特性を把握した上で、自分の経営戦略にうまく組み込んでいくことが重要なのです。
バランスを考えて決めたい「建築の構造」
新築の場合にも、このバランスをよく考えるといいでしょう。何でもRC造が良い、というものではないのです。
木造は、建築コストが安くて、減価償却費が取れてキャッシュフローが良い。でも銀行の評価が低く、居住用年数の22年を超える借入期間を設定するのは一般的に難しくなります(ただし、新築の場合などは耐用年数の22年を超えて、例えば30年で融資を受けられるケースもあります)。
一方、RC造は銀行の評価が高く、25年とか30年といった長期の借入期間を設定しやすくなります。また木造より家賃も高く取れます。ただ、建築コストは割高に、減価償却費は取りにくくなります。以上のようなことを踏まえて、建築時の構造を決める必要があります。
返済期間も、毎年のキャッシュフローに影響を与える要因です。
例えば銀行から1億円を借りたとします。返済を元金均等方式として、借入期間を15年とすると、年間の返済元金は666万円(1億÷15年)、20年とすると年間の返済元金は500万円(1億÷20年)となり、返済期間を長くすれば、その分、毎年のキャッシュフローが良くなります。
また借入方法も元利均等と元金均等とで差が出てきます。元利均等は当初は、「元金の返済額が少ない=キャッシュフローが良い」のですが、あとあと「返済元金が増える=キャッシュフローが悪い」ということになります。