物件売却のための「資産価値の見直し」のポイント

今回は、物件売却のための「資産価値の見直し」のポイントについて見ていきます。※本連載は、不動産コンサルタント・広瀬智也氏の著書『2時間で丸わかり! 不動産経営のきほん大全』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋し、不動産経営にあたって理解しておきたい「キャッシュフロー」について、その基礎知識をご紹介します。

資産見直しのポイントは4つ

経営者としては、常に資産の状況に気を配っておき、利益を最大化させるために組み替え(売却して資金化→新規取得)を図っていくことも必要です。

 

資産の見直しに当たっては、次の4つがポイントになります。

 

①キャッシュフロー

②ROI

③担保価値

④立地

 

①「キャッシュフロー」(Q5〜8)と②「ROI」(Q8)に関しては、ここまで説明してきた通りですが、例えば、付属設備や建物の減価償却が終了するなど、キャッシュフローが悪くなったりマイナスになったりするときは見直しをする一つの目安になります。

 

空室率・利回りなどが悪くなくても、ROIがイマイチであれば見直しの対象になりますし、逆にROIが優秀な物件でも、例えば元利金等や変動金利で融資を受けている場合は、金利上昇の際にキャッシュフローが悪くなる可能性もありますから、金利リスクを恐れる人は売却を検討するのも一つの手だと思います。

 

また築年数が古い、立地が悪くて将来の入居率が不安という物件などは、売却を検討する対象になるでしょう。

 

③の「担保価値」については、銀行がその物件をどの程度評価しているのかということです。例えば1億円を借りて買った物件でも、銀行が1億5000万円と評価してくれる物件であれば、もう5000万円の担保余力があるということで、その枠を使って別の借り入れができます。新しい物件を買うときの共同担保にするなど、活用することができるのです。

 

私の経験でも新築物件を建てる際に、融資のための担保価値が足りなかったため、手持ちの物件で担保価値が余っている別の物件を共同で担保として差し入れて満額の融資を得ることができました。借り入れの返済が進んでいれば、担保余力が出る可能性もあるので、銀行に相談してみる価値はあります。

 

それがたとえキャッシュフローやROIがそれほどでもない物件でも、担保価値が高ければ資産の中に組み込んでおくと有効な場合もあるのです。

 

自分の資産に無自覚で、そういった価値に気がつかないのはもったいない話です。逆に担保余力がないのであれば、売却する一つの要素になるでしょう。毎年公示される路線価をチェックすることで、担保価値の変化をキャッチすることもできます。

不動産価格の相場はポータルサイトでチェック

さて最後の④「立地」ですが、近くに電車の駅ができるとか、大きな商業施設ができるとか、大きな企業や大学が来るとか、そういうプラス要素があればその物件に対する評価を上げるべきですし、逆に、商業施設がつぶれたり、企業や大学が撤退したり、過疎が進んだり、バスの路線が廃止になるといったマイナスの要素があるならば、マイナスポイントとして考えたほうがいいでしょう。

 

ちなみにQ8で売却を検討していると書いた神奈川県横浜市緑区の物件では、最寄り駅の駅前を再開発する計画があり、駅前に大きな商業ビルが建ちました。ちょっと迷ったものの、再開発されたプラス面を勘案しても、そのときは資金化して別の物件を買ったほうが効率的かなという判断をして、売却しました。

 

さらに、そのエリアの不動産マーケットの相場もチェックしておくといいと思います。

 

以前にも触れた、私が保有していたアパートは神奈川県横浜市緑区にありましたが、このエリアでは売却した当時、中古物件の利回り相場が8〜9%でした。これを知っていると、私が神奈川県横浜市緑区の物件を買ったときは12.8%の利回りでしたから、その差額が利益になるとわかるわけです。そういった指標が、アメリカだとキャップレート(対象不動産にどれだけの収益力があるかを示す)と呼ばれて広く公開されていますが、残念ながら日本では個人投資家が買う市場ではオープンになっていません。

 

ですから私の場合は、「楽待」や「健美家」といった収益物件のポータルサイトで、最寄り駅や物件種別、築年数などが似ている売り物件の利回りや、売買の成約事例の利回りをチェックするようにしています。投資する際の判断基準としても使えますし、売却するかどうかを判断する上でもとても参考になります。不動産は値動きがわかりにくく、また、緩やかですので、そうした大きな流れをとらえるための情報収集が重要なのです。

 

そうやって常に自分の資産に目を光らせ、良いもの悪いものを自分でランク付けして、悪いものから良いものに組み替えられる可能性があるのであれば、積極的に組み替えを図るのも手です(売却時の税コストはかなりかかりますが)。

 

また、見直しの過程で、管理面でコストを下げたり、リフォームすることで空室率を減らし収入アップが見込めるのであれば、そうやって素早く対応していくのが、賢い経営者と言えるでしょう。

株式会社バンブーインターナショナル 代表取締役

1972年北海道札幌市生まれ。1995年に東京大学法学部卒業後、日商岩井(現、双日)の法務部、上海法人にて勤務。2000年に株式会社エリアクエストにて、取締役として事業用不動産の賃貸仲介業務を行う。2003年に株式会社バンブーインターナショナルを創業。2004年に株式会社不動産投資アドバイザーを創業(同社は後輩に譲り、代表者を退任)。現在は、株式会社バンブーインターナショナルにて、年間収入を1億超稼ぎ出す不動産賃貸業、不動産経営に関するコンサルティングやセミナー、不動産の仲介事業を行う。2014年に一般社団法人相続オールインワンの理事に就任。

著者紹介

連載不動産経営のための「キャッシュフロー」基礎講座

2時間で丸わかり! 不動産経営のきほん大全

2時間で丸わかり! 不動産経営のきほん大全

広瀬 智也

SBクリエイティブ

不動産経営の基本が2時間で身につきます! 税金や建築、物件管理や保険など不動産経営者として身につけておくべき知識をまとめて、一冊のヒント集に仕上げました。 大家さんが直面する「ここが知りたかった!」「困った!」に…

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