(※写真はイメージです/PIXTA)

近年では、会社員ではなく、フリーランスや個人事業主を選択する人が増えています。インターネット環境さえあればどこでも就業可能という人は、節税のため、日本を脱出する選択肢もアリかもしれません。今回は、マレーシアへの移住を想定したスキームを伝授します。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

フリーランスは、タイに移住し節税できるが、タイエリートビザ(約360万円)は、少し高い!

以前の記事『フリーランスの最新節税スキーム…「タイ移住+外国法人設立」で、まさかの「税額ゼロ円」を実現する方法』では、フリーランスの方が「税金ゼロ」にする方法を書きました。

 

しかし、「タイエリートビザ」は、5年用ビザで90万バーツ(=約360万円)かかります。

 

居住権を金で買えること、タイは香港やシンガポールと比べて物価が安いことを考えれば、十分にお得だといえますが、それでもまだ「高い」と感じる人は少なくないでしょう。

 

そこで、今回は別の移住先を探してみました。マレーシアです。

首都クアラルンプール…日本人も暮らしやすい大都市

外務省の2023年10月1日付のデータでは、日本人5万1,407人が住んでいるバンコクと比べると、クアラルンプールに住んでいる日本人は9,889人と少な目です※1

 

※1 出所:外務省「海外在留邦人数調査統計」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100436737.pdf

 

しかし、クアラルンプール市内で最も多く日本人が住むといわれるモントキアラなどには、プールやジムのついたコンドミニアムが立ち並び、スーパーマーケットやレストランも多く、生活しやすいといえるでしょう。

 

(クアラルンプール、ペトロナスツインタワーを望む夜景)
(クアラルンプール、ペトロナスツインタワーを望む夜景)

マレーシアのビザの定番「MM2H」が使いにくくなったワケ

マレーシアに長期滞在する方向けのビザとして有名なのは「MM2H(My Malaysia 2nd Home)」です。

 

MM2Hは、マレーシアの会社に雇用されているなどの条件が不要で、簡単に取得できましたから、海外生活をしたい人、FIREしたい人が飛びついたのも当然です。

 

しかし、コロナ禍があけ始めた2021年、MM2Hが復活した際、金融資産が150万リンギット(約4,500万円)以上、毎月の収入が4万リンギット(約120万円)以上と、一気にハードルが上げられてしまいました。これでは日本人移住者には使いにくいでしょう。

低コストな「デジタルノマドビザ」の登場

しかし、その約1年後の2022年10月、ITエンジニアやクリエーター向けの「デジタルノマドビザ」が、マレーシア政府により新たに発表されました。

 

ITエンジニアやクリエーター向けビザですが、その配偶者・子どももビザを取得できます。

 

なにより、デジタルノマドビザの嬉しい点は、MM2Hの条件改正で厳しくなった金額的なハードルが、年収US$24,000(約332万円)以上と非常に低くなっていることです。

マレーシア国外に法人を作って、その法人で仕事を受ける!

マレーシアでデジタルノマドビザを申請する際、リモートワーカーか、フリーランスとして6ヵ月以上の契約を結んでいることが要件とされています。

 

クライアントから自分が直接受注する契約でも構いませんが、6ヵ月という長期契約を結んでもらうのは、少々むずかしいかも知れません。

 

その場合、クライアントから仕事を受注するための会社をマレーシア国外(たとえば香港)につくり、その法人とマレーシア在住の自分(個人)との間で6ヵ月間の業務委託契約を結ぶ形がよさそうです。

 

[図表]デジタルノマドビザを使ったマレーシア移住の場合

 

香港法人としては、所得(売上―経費)に対して、法人税(所得200万香港ドル=約4,000万円までの分は8.25%)がかかります。

 

一方、マレーシアに住んでいる自分(個人)はどうでしょうか?

 

デジタルノマドビザを発行している政府機関(MDEC)のウェブサイトにあるFAQによると、フリーランスとして仕事をしている場合、その報酬をマレーシア国内に持ち込まないのであれば、マレーシアでは課税されないということになります※2

 

※2 Malaysia Digital Economy Corporation, ”FAQ”(https://mdec.my/static/pdf/derantau/DE%20Rantau%20Pass%20FAQ_SST.pdf

 

以上をまとめると、

 

①どの国・地域に法人を設立するかによって税率は異なるが、仕事を受注する会社の法人税はかかる。

 

②その法人からフリーランスとして受注している自分は報酬を受け取るが、マレーシア国内にその報酬を持ち込まない限り、マレーシアの個人所得税はかからない。

 

ということになります。

仕事を受注する法人…香港にするか、シンガポールにするか?

節税をどこまで徹底できるかは、仕事を受注するための法人をどこに設立するか次第ということになります。

 

マレーシア国外で、法人税率の低いところに作るのがいいのですが、ぱっと思いつくのは香港とシンガポールでしょう。

 

税率的には大きく変わらないので、どちらでもいいと思います。

 

ただ、法人を設立したあとで銀行口座を開設する難易度を考えると、香港の方が使い勝手がよいと思います。

 

(九龍半島側から香港島の中心街を見る)
(九龍半島側から香港島の中心街を見る)

英領バージン諸島(BVI)法人なら、無税も夢ではない

さらにいえば、仕事を受注するための法人を、法人税率0%の場所に設立すれば「法人税率0%、個人所得税0%」も、理論上可能になります。

 

たとえば、タックスヘイブンとして有名な英領バージン諸島(BVI)等に法人を作れば、本当に税金を0%にできます。

 

ただし、仕事を依頼する側から見て、依頼先が「BVI法人」だと不安になるかもしれません。また、将来日本に戻ったあと、海外に住んでいた時期の所得について、税務署・国税局から聞かれた場合、その時期の所得について「証明する公的書類がまったくない」という状況になるため、税務署・国税局への説明が難しくなりそうです。

 

この点を考えると、所得に8.25%の法人税はかかるものの、香港法人で仕事を受注するのがベストだと考えられます。

 

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小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士

 

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