(※写真はイメージです/PIXTA)

スマホゲームの多くは「無料」で提供されます。しかし、手の込んだグラフィックや、次々と追加されるステージやストーリーには、明らかに開発費がかかっているはず。これが無料でよいのだろうか、ビジネスとして成り立つのだろうかと気になったことのある人もいるでしょう。スマホゲームはなぜ「無料」が多いのか? そのワケを、菅原由一氏の著書『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、解説します。

多くのスマホゲームが「無料」で提供される理由

価格設定において最強のキーワードは「無料」です。スマホで遊ぶゲームはその強みを発揮している一例で、2012年に約5000億円だった市場規模は、その後の10年間で約2倍超に成長しました(図表1)。

 

出典:ファミ通モバイルゲーム白書2022、モバイル・コンテンツ・フォーラム資料
[図表1]スマホの普及でゲーム市場が拡大 出典:ファミ通モバイルゲーム白書2022、モバイル・コンテンツ・フォーラム資料

 

多くのゲームが無料提供される理由は、まず競争力の維持と強化につながるからです。

 

ゲームが好きな人たちは常に新しいゲームを求めます。無料であれば「遊んでみよう」という気持ちも高まります。このきっかけを通じて自社のゲームをダウンロードしてもらい、市場での存在感を高めることができます。

 

また、スマホゲームの中でもソーシャルゲームと呼ばれるゲームは、SNS上の友人をゲームに招待したり、ゲーム内で友人をつくって一緒に遊んだりすることができます。

 

その過程でゲームの認知度が高まり、とくにランキングを競ったりゲーム内のアイテムをやり取りしたりするなどの要素を含む場合、ゲームを中心とするネットワークができ、ユーザーが増えやすくなります。

 

どんなゲームも、まずは遊んでもらい、評価されなければ普及しません。無料はそのための第一歩で、ユーザーの入り口を可能な限り広げた結果です。

 

ちなみにスマホはホーム画面に置けるアプリ数が限られています。ユーザーにとっては、もっとも多く使うアプリをホーム画面に置きますし、スマホ画面の一等地といっても良いでしょう。ゲーム会社のみならず、アプリを出している会社にとっては、自社のアプリをホーム画面に置いてもらうことが利用回数と頻度を増やすうえで非常に重要なのです

「基本無料」のスマホゲームが収益を得る方法

ユーザーを獲得したら、次に重要なのがマネタイズ、つまり収益を得るための計画です。

 

そのための方法の1つは広告です。多くの無料アプリは広告を表示し、その広告収入によって収益を得ています。広告主としてはより多くの人に広告を見てもらいたいわけですので、ユーザー数が多い人気ゲームほど広告を出したい企業が増えますし広告料も高くできます。

 

収益を得る2つ目の方法はアプリ内課金です。基本的なゲームは無料で遊ぶことができるようにし、一部の高度なサービスや、ゲーム内で使うアイテムなどを有料化する方法です。これはマーケティングではフリーミアムモデルといいます。フリーミアムは、フリー(無料)とプレミアム(有料、上級)を組み合わせた造語です(図表2)。

 

出典:Funda
[図表2]無料と有料のサービス内容を分けて収入源をつくる 出典:Funda

95%が無課金勢でも、5%の課金ユーザーがいれば収支面は成立

ゲームが面白ければ、ユーザーが増え、ユーザー同士の協働や競争のためにアイテムを買う人が増えます。そのためにも、まずはユーザー数を増やす必要があり、そのための入り口として無料で遊べる仕組みになっているのです。

 

無料化で心配なのは、無料で遊ぶ人ばかり増えることです。ゲームの場合も「無料ゲームしかやらない」「課金はしない」と決めている人もいます。しかし、スマホゲームなどのウェブコンテンツでは、ユーザーの5%が有料サービスを利用すると収支面で事業が成立するといわれます(5%ルール)。

 

つまり95%の人が無料で遊ぶフリーライダーであったとしても、コアなファンをつくればきちんと事業として成立するのです。

「消費者の反応を見ながらアップデートできる」という強みも

短期的な収益にはなりませんが、中長期で見ればユーザーのデータが収集できることもメリットです。

 

アプリはデジタルで提供されますからユーザーに関するあらゆるデータが取得できます。反応などから分析することでゲームの改善や次のゲームの開発に活かすことができます。

 

アプリのようなデジタルコンテンツは常にアップデートでき、アジャイルで完成度を高めていくことができます。

 

この特徴を活かすことで、ゲームの改善などによってゲームそのものを育てていきながら、ユーザーやファンを増やすことができます。これはゲームに限らず全てのデジタルコンテンツに共通する強みですので、自社で提供している商品やサービスにも応用できるかもしれません。

 

 

菅原 由一

SMG税理士事務所 代表税理士

YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』運営

 

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※本連載は、菅原由一氏の著書『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ

タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ

菅原 由一

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