いま、「老後破産」に陥る高齢者が増えている
昨今、老後破産に陥ってしまう高齢者は増加傾向にあります。
2022年の政府統計データ※1をみると、生活保護受給者は全体で199万3,867人ですが、そのうち65歳以上の高齢者は105万1,051人と全体の52.7%を占めているのです。
※1 政府統計の総合窓口e-Stat「被保護者調査」
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450312&result_page=1)
2000年時点では生活保護受給者が103万1,770人、そのうち65歳以上の高齢者は37万7,122人と全体の36.5%でしたから、この20年ほどで生活保護受給者自体の数が増加するなか、高齢者の割合も約16%増加していることがわかります。
なお、直近のデータを世帯数でみると※2、2023年11月時点での生活保護受給世帯数は全体で165万3,002世帯、そのうち65歳以上の高齢者世帯は90万7,424世帯と、全体の54.8%を占めています。
※2 厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和5年11月分概数)の結果を公表します(令和6年2月7日プレスリリース)」
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2023/dl/11-01.pdf)
また、日本弁護士連合会、消費者問題対策委員会の調査※3によると、60歳以上の「破産債務者」の割合も増加傾向にあります。2008年調査では約16%でしたが、12年後の2020年調査では約25%に上昇しています。
※3 日本弁護士連合会、消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】」(https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/books/data/2020/2020_hasan_kojinsaisei_1.pdf#page=5)
いったい、なぜ老後破産に陥る高齢者が増えているのでしょうか。この背景には、下記のような要因が考えられます。
老後破産に陥る「8つの条件」
1.高所得で現役時代の生活水準が高く、年金生活になっても生活水準を下げられない
2.現役時代の所得に比べて年金が少なく、貯蓄を取り崩しながら生活している
3.住宅ローンの返済があり生活を圧迫している。または退職金で住宅ローンを繰り上げ返済したことにより預貯金が乏しい
4.子どもの学費を負担していたために老後の備えとなる貯蓄が十分にできなかった
5.予期していない病気により医療費がかかる
6.親の介護費用を負担したために貯蓄が減った
7.自分の介護費用を準備できていなかった
8.人生設計や金融知識が不十分
上場企業に勤務していたAさん(65歳)も、上記のような老後破産の「条件」に当てはまっていたうちの1人です。