(※写真はイメージです/PIXTA)

日本弁護士連合会の調査によると、60歳以上の「破産債務者」の割合は2008年:約16%→2020年:約25%と、高齢者による「老後破産」が増加しています。そして恐ろしいのが、老後破産危機に陥る人のなかには「現役時代に高収入だった人」も少なくないという点です。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、ある男性の事例をもとに、老後破産に陥ってしまう「8つの条件」と回避策を解説します。

定年後も“現役時代と同じノリ”でお金を使っていたAさん

現役時代の年収は1,200万円あり、退職金は2,300万円。65歳で定年退職したAさんは、「お金は十分にあるし、これからは自分の好きなことを思う存分楽しもう」と、退職してからしばらくは趣味三昧の暮らしを続けていました。

 

しかし……。気がつくと、趣味を楽しんでいるところではない状況に。グルメなAさんは、現役時代からディナーは外で食事をとることがほとんど。定年後も同僚や妻を連れて外食や買い物を続けていたところ、毎月の収支は大きくマイナスになってしまいました。

 

また、退職金もほぼ全額を住宅ローンの返済に充てており、まとまった現金は手元にほとんどありません。

 

さらに、Aさんの80代の両親は、最近実家へ帰るたびに衰えを感じます。近い将来介護が必要となれば、介護費用は1人あたり約500万円必要です(平均介護費用8.3万円/月×平均介護期間5年1ヵ月)※4

※4 公益財団法人生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html)

 

両親の介護についてなにも考慮していなかったAさんは、急に不安になってきました。「親の介護にこんなにお金がかかるなんて知らなかった……しかも、いずれは自分や妻も介護が必要になるかもしれない」。

 

両親が介護費用をいくらか準備している可能性はあるにせよ、もしも自分が両親の介護費用を負担しなければならないと考えると不安で仕方ありません。また、年齢的にはAさんや奥様自身の介護についても考えなくてはいけませんが、その費用も心もとない状況です。

 

「このままじゃまずい……いまさら考えても仕方ないが、現役時代から節約しておけばよかった」

 

先述の「老後破産に陥る条件」のうち、「1.高所得で現役時代の生活水準が高く、年金生活になっても生活水準を下げられない」「3.住宅ローンの返済があり生活を圧迫している。または退職金で住宅ローンを繰り上げ返済したことにより預貯金が乏しい」「7.自分の介護費用を準備できていなかった」「8.人生設計や金融知識が不十分」の4点に当てはまっていたAさん。

 

さらに今後親の介護費用を負担することになれば、「6.親の介護費用を負担したために貯蓄が減った」にも当てはまり、老後破産危機に陥ってしまう可能性が高いといえます。現役時代高収入だったAさんは65歳のいま、老後破産の窮地に立たされています。

 

 

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