〈オルカン〉もいいけれど、個別株にチャレンジしてみたい…
新NISAで投資デビューした者です。入門書で勉強したり、長年投資をしている友人にアドバイスを求めたりして、インデックスファンドを選びましたが、その後、周囲の投資経験者たちの話を聞く機会があり、個別株にも興味がわいてきました。個別株で大きく儲けたと聞くと心がソワソワして、どうにも落ち着かない気持ちです。個別株という選択肢は、実際のところ、どうなのでしょうか?
会社員 45歳(横浜市港北区)
NISA口座ではオルカン等のインデックス・ファンドを勧められるケースが多く、実際に選ばれていますが、それでも個別株が魅力的に見える人もいるでしょう。筆者も株式投資が好きなので、その気持ちはよくわかります。
しかし、個別株云々の前に、株式投資における大前提を、まずは理解していただきたいと思います。
インデックス・ファンドは、市場全体に投資することでリスクを分散し、長期的に安定したリターンを期待できる商品です。20年以上、30年以上といった「長い目」で見た場合、個別株を一切買わずにインデックス・ファンドのみで運用したほうが、高いリターンを得られる可能性があります。
個別株を買うということは、最適な資産配分をあえて崩すことでもあります。そのため、オルカン(eMAXIS Slim全世界株式)に100%投資している場合より、リターンが下がったり、リスクが上がったりする可能性があるのです。
インデックス・ファンドは市場全体に投資するものであり、オルカンなら「世界全体」が対象です。そのため、インデックスを買っている人たちは、個別企業の動向への関心が薄れてしまうかもしれません。
一方、個別株に投資したら、株価が気になり、必然的に日々の価格変動に注意が向くでしょう。それだけでなく、金利・為替・物価など経済の動きについても、一層敏感になると思います。そのため、個別株への投資は、経済の動きへの理解と、それを仕事や生活に役立てるようとする積極的な姿勢をもたらすかもしれません。
インデックス・ファンドは、効率的な資産運用として有効であり、個別株投資は経済の動きの理解に寄与し、そこから新たな資産形成のチャンスをもたらす可能性があるといえそうです。
米国企業の「デジタル系」「AI関連企業」という選択肢
もし個別株の購入を検討する場合、多くの方は「日本企業にするか、それとも米国企業にするか」を考えるのではないでしょうか。
しかし、日本企業への投資は止めたほうがいいと、筆者は考えています。なぜなら、高齢化で人口が減少・市場が縮小しており、国内での成長余地が限られるからです。また、日本銀行のゼロ金利政策によって産業の新陳代謝がなされず、上場企業でも生産性が高いといえない企業ばかりとなっています。この点から、日本企業の株価が大きく上昇する可能性は低いと考えるべきでしょう。
それに対して、米国企業は成長のチャンスが多いといえます。とくにデジタル技術の分野では、GAFAやMicrosoftのような大企業が技術革新を進めています。最近では、成長性の高さから、AI関連企業が注目されています。
Googleを運営するアルファベット、アップル、Facebookを運営するメタ、OpenAIのChatGPTをフル活用するMicrosoft、そのAIを動かす半導体を製造するエヌビディア等も銘柄としては有望だと思います。破壊的ともいえるイノベーションを推進するテスラも対象になりそうです。
ちなみに、投資家からの注目を集めているエヌビディアは、米国の画像処理半導体メーカーで、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)で高い市場シェアを有しています。
エヌビディアの強みは、GPUに関する優れた技術力です。競合他社と比較して半導体の処理能力が圧倒的に高く、高度な映像処理能力を必要とするパソコンには欠かせません。また、高い処理能力は自動運転技術にも活かされ、自動車向けAI音声アシスタントのドライブ・コンシェルジュと、自動車を自動運転させるアプリ、ドライブ・ショーファーを発表しました。
こうした技術は、テスラのようなEVメーカーのみならず、メルセデス・ベンツといった世界的な自動車のメーカーに提供されています。
もし「年間30万円程度」投資するとしたら?
では、もし年間30万円程度を投資するとしたら、読者の皆さんはどのように分散させようとお考えになるでしょうか?
いろいろな方法があると思いますが、筆者なら「単純に均等配分」をお勧めします。例に挙げた7社について、各社5万円ずつで合計35万円というのも一つの方法です。
ただし、大きく値下がりしたときに焦って売らないようにすることが必要です。また、結果としてオルカンに負けてしまう可能性が高いことも覚悟しておきましょう。個別株投資を経済の勉強の一環だと考えるのもひとつです。自己責任のもと、興味がある方はトライしてみて下さい。
※ 本記事の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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