「贈与税+加算税・延滞税」…いったい誰が払う?
もっとも相続トラブルが発生しやすいのが、今回の事例のような「贈与の差」です。特定の子や孫にだけ多くの贈与が行われていたような場合、他の相続人は当然嫉妬や不公平感を感じます。
Aさんの4人の子どもたちは大人になってからも仲がよく、Aさんには「あいつらのことだし、特に遺言書を書かなくてもうまくやってくれるだろう」と思っていました。さらに、Aさんの家は代々続く旧家。Aさんは昔ながらの感覚で「相続といったら長男がすべて相続するのが当たり前」という考えをもっていました。
しかし時代は変わり、子であれば相続の際の法定相続分は平等となっています。
また、相続は親のどちらかが生きているあいだは、トラブルに親が割って入りなんとかまとまることもあるものの、両親とも亡くなったような場合、兄弟がそれぞれ言いたいことを主張し、関係が険悪になるケースが多いといわれています。
また、兄弟間では相続の話し合いがまとまりそうであっても、その配偶者が口出しをしてきてこじれるといったケースもよく耳にします。相続がある時期は、相続人である子もお金が必要な時期と重なることも多く、兄弟間で遺産分割でトラブルになりがちです。
今回、税務調査により贈与税の申告漏れが指摘された孫のBさんは、大学の合格祝いにプレゼントされた車が原因で、贈与税のほか加算税・延滞税を合わせて200万円の納税を命じられました。
さらに、「Bは悪くない。親である長男の取り分を減らすべきだ」「Bだけが贈与を受けていた分を含めて、最初から遺産分割協議のやり直しをすべきだ」という意見も出てきたために、結局泥沼化。
大学生にして200万円の現金を失うはめになり、加えて相続人間の関係は親も孫も険悪に……この悲劇にBさんは「こんなことになるなら車なんてもらわなければよかった」と後悔してもしきれません。
“愛する孫への生前贈与”は慎重に
もともと兄弟同士仲がよかったとしても、特定の子や孫への贈与については、後々トラブルに発展する可能性が高いです。
仲の良かった兄弟同士が自分のせいで険悪になるというのは、親としても本望ではないはずです。
贈与をする際は、今後自分が亡くなって相続が発生した際に、不公平感を感じさせないような配分を想定することが肝要です。また、後々の相続トラブルを避けるためには、遺言書の作成も検討されるとよいでしょう。
宮路 幸人
多賀谷会計事務所
税理士/CFP
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