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「D&I推進するも結局“男性優位”な会社」と「海外M&Aをしても“日本から出られない”会社」が実は同根なワケ
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◆コペルニクス的転回…「『普通に考えると当たり前のこと』が実は間違っている」ことに気づくこと。
例:太陽が地球の周りをまわっていた(天動説)のではなく、実は地球が太陽の周りをまわっていた(地道説)。
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【理由①】「対立」を力に変えられていない
【新常識】変革を実現させるためには「対立」が必須
組織内の「対立」について、多くの方はこのように考えます。
「対立はできれば起こらないほうがいいもので、避けるべきだ。皆が仲良く協力しないと変革は難しい」
しかし私たちは、これに反対です。変革を実現させるためには「対立」が必須である。それどころか、「対立」をなかったことにする限り、変革は起こらない──このように考えます。
私たち日本人には、歴史的に「和を以て貴しと為す」(人と人とがむつまじく親しくすることを貴いものとする)という根強い信念があり、異なる意見を戦わせて何かを生み出すことは苦手です。
この特徴は、おそらく農耕文明という安定した(UCAと正反対の)環境によって形成された国民性なのでしょう。安定した状況では、置かれた環境や見えている景色は、皆同じです。そこに対立が起きてしまったら、安定した状況が脅かされてしまいます。であれば、事が大きくなる前に「まぁまぁ、お互いに落ち着こうよ」となだめたり、利害調整をしたりして、対立を避けたほうがいい──安定の時代においては、これが賢明な判断だったのでしょう。
しかし、時代環境は変わりました。VUCAの時代の対立は、避けるべきものではありません。「潜在的な力」「可能性」です。
変化が早く、複雑なVUCAの時代、一人ひとりが置かれた環境や見えている景色は異なります。そのため、お互いが本気で「この会社のために…」と思ってやっていることが、実は正反対になることもあるのです。たとえば、今後の市場の見通しについて、海外とのやりとりが多い人は「海外市場を開拓すべきだ」と考えるかもしれませんが、ユニークな取り組みを続ける地域に接する機会が多い人は「いや、国内市場にまだまだ成長の余地がある」と考えるかもしれません。それぞれから見えている景色に立ち戻ると、両方が「正しい」のです。
ここで、いわゆる「ガチ対話」を起こすことができれば、新たな発展へとつながる道が開けることでしょう。これこそが、ヘーゲルの言うアウフヘーベン、すなわち「対立する考え方や物事からより高い次元の答えを導き出す」ことです。
安定の時代に生まれた「対立は避けるべきもの」という常識を、現在のVUCAに持ち込んではいないでしょうか?
多くの組織において、今でも「対立」を「避けるべきもの」として扱っています。お題目としては「対話」を掲げていても、実際は、対立を力に変えるどころか、当たり障りのないやり取りしかなされていないのが現状です。対立を避けることは、組織の潜在的な力を消してしまうこと。それでは、変革も発展も生まれません。
【理由②】「今、ここ」しか見えていない
【新常識】「人は『今、ここ』しか認識することができない」という前提に立つ
「人は、過去と未来の時間軸や空間的広がりを認識できる」
人の認知能力について、多くの人はこのように考えます。でも私たちは、違った視点を持っています。人、つまり組織メンバーは、過去と未来の時間軸と、空間的広がりを認識できず、「今、ここ」だけを見ている。
そして、これが、組織が変われない2つ目の理由でもあります。私たちは「今、ここ」しか見えていない。だから組織は変われない──このようにお伝えすると、「そんなことはない。私は過去を研究し、未来も見据えている。他部署のことや様々なステークホルダーについても理解している」などの反対意見が届くかもしれません。
しかし、そう思っていたとしても、実際にできている方は非常に少ないのが現実です。そして、偉そうに言っている私たちも、頻繁にこの罠にはまっています。これは、能力の有無や才能というよりも人の認知能力の限界だと捉えたほうがいいでしょう。「今、ここ」から抜け出して、幅広い時間軸・空間的広がりから物事を考えるには、相当の工夫が必要なのです。
なお、安定の時代には、「今、ここ」だけ見ていれば十分でした。Volatility(変動性)がないため、過去、今、未来にそう大きな違いはありません。また、Complexity(複雑性)がないので「ここ」は全体の縮図かもしれませんし、さっと全体を見渡せば、状況を簡単に理解できた時代だったのです。こうしたかつての成功体験が、人間本来の性質に輪をかけて、私たちを「今、ここ」しか見ないようにさせているのでしょう。
しかし、VUCAの時代、「今、ここ」だけでは本質的な打ち手は見えてきません。答えが見えづらい時代だからこそ、過去〜現在〜未来を見据え、歴史の中で「自分たちは誰なのか」を知り、未来に向けて「どう歩むべきか」を決めていく必要があるのでしょう。組織が歩んできた歴史、脈々と培ってきた文化を知り、自分たちがどんな未来を創り出したいのかを決めていく──私たちが今、迫られているのは、そのような決断なのです。
また、組織活動は複雑化しています。自部署・自組織だけで完結するような仕事はほとんどなく、他部署はもちろんのこと、仕入先、卸先、ユーザー、パートナー、株主などの幅広いステークホルダーにまで視野を広げなければ、効果的な打ち手を生み出すことはできません。
「人は、今、ここしか認識することができない」という前提に立ったうえで、時間軸・空間軸を広げるための取り組みを意図的に行っていく──その積み重ねによって、組織は変貌を遂げることができるのです。
【理由③】実行するメンバーの内発的動機づけができていない
【新常識】戦略コンサルが考えた100点の施策より、現場メンバーが考えた60点の施策
「知的レベルの高いメンバーが正しい打ち手を考えて、実行力の高い現場メンバーが、それを実現させていけばいい」
これが難しいことを本書序章からくり返し述べていますが、日本の組織は、まだこの誤りから抜け出せていません。実務の視点で考えれば、外部から与えられた施策・打ち手は、それがどれだけ正しいものだとしても、実行されません。たとえそれが変革のために必須の打ち手だとしても、です。組織が変わるほぼ唯一の手段は、現場のメンバーが自ら内発的に考えた施策を実施してもらうことです。つまり、実行するメンバーの内発的動機づけが、組織変革には欠かせないのです。
これは、多くのリーダーが「そんなの当然だ」と認識していることかと思います。
「私は実行メンバーを鼓舞しているし、成果をあげたら報いている」と反論したくなる方もいることでしょう。
でも、ここで少し意地悪な質問をさせてください。
そうした取り組みで、メンバーは主体的に動き出したでしょうか? 組織は本当に変わりましたか?
おそらく「YES」と胸を張って答えられるリーダーは、少ないのではと思います。そして、結局はメンバーのモチベーションの低さ、能力の低さ(ケイパビリティ)の問題に還元してはいないでしょうか。
とはいえ、外部環境が変わり続ける中で、新たな方針・戦略を組み立てなければならない。社内を見渡しても、それはできそうにないから外部リソース(外部の戦略コンサルティングファームなど)を頼っていく…というのが、私たちがよく目にする風景です(図表3左)。戦略コンサルティングファームがつくった「上質な戦略を外から与える」と、どうなるでしょうか。
「さぁ、ここからは君たちの番だ。この戦略の実行に組織の命運がかかっている。もちろん成果をあげた者には、ボーナスや昇進昇格によって報いていく」と動機づけしたとしても、結果がどうなるか、皆さんはよくご存知のことと思います。どんなに金銭や地位といった外発的動機で誘ったとしても、多くの場合、今までやったことがないような変革──しかも、それが自分たちが考えておらず、外から一方的に与えられたものであればあるほど──は、実行されることは稀なのです。
本気で組織を変えようとするリーダーがとるべき道は図表3の右半分です。当事者たちにバトンを渡し、自ら調査やインタビューを行ってもらいます。すると自ずと「このままでは大変なことになる」という危機感が生まれてくるでしょう。そして、当事者たちに今後の打ち手を考えてもらうのです。その完成度は、戦略コンサルが考えた打ち手を100点とすると60点程度かもしれません。しかし、それでもいいというのは、本書序章でも述べました。「ラーニング・バイ・ドゥーイング」が起きることこそが、本当に大切なのです。
自分たちが本気で考えた戦略は、実行への動機づけが整っています。いざ実行してみると、ダメなところと良いところが見えてくるでしょう。ダメな部分があれば、修正すれば良いのです。そうして「ラーニング・バイ・ドゥーイング」がくり返されていくと、いつしか優秀な外部戦略コンサルタントが考えたものに勝るとも劣らない戦略が完成し、しかもそれが実行されている状態が実現されます。このように、「動機づけ」次第で、組織は変わるのです。
裏を返せば、組織が変わらないのは「内発的動機づけ」(特に現場で実行するメンバーに対する内発的動機づけ)が不十分であるからなのです。
【著者】西田 徹
バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役
【著者】山碕 学
バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役
【監修】松村 憲
バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役
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