受理されても法的には無効になるケースも…「離婚届」の入手~提出方法までを「記載例」とともに弁護士が徹底解説

受理されても法的には無効になるケースも…「離婚届」の入手~提出方法までを「記載例」とともに弁護士が徹底解説

離婚の際の条件や親権の問題などをクリアし、いざ離婚となったときに必要となるのが離婚届の提出です。離婚に至る道筋は協議離婚、調停離婚、そして裁判離婚と夫婦によって異なりますが、離婚届は必ず提出しなければなりません。本記事では、Authense法律事務所の弁護士白谷英恵氏が、離婚届の入手方法から書き方、そして提出方法について詳しく解説します。

離婚届の書き方

離婚届は、あらかじめ間違いなく記載したうえで、役所へ持っていきましょう。記載例とそれぞれの項目の書き方は、次のとおりです。

 

引用元 法務省:離婚届の「記載要領・記載例」
[図表]離婚届の記載例 引用元 法務省:離婚届の「記載要領・記載例」

 

日付を記載する

離婚届の用紙左上の欄外にある日付の欄には、提出日を記載します。そのため、事前には空欄としておき、提出時に役所の窓口で埋めるとよいでしょう。なお、日付の下にある「長 殿」の前には、提出先の市区町村名を記載します。

 

それぞれの氏名と生年月日を記載する

「氏名」の欄には、離婚をする夫と妻それぞれの氏名とふりがな、生年月日を記載します。ここは現在の戸籍上の氏名を書く欄ですので、氏名の欄に書く名字は、離婚をする前のものを記載してください。つまり、ここに記載する夫の名字と妻の名字は、原則として同じになるはずです。

 

住所を記載する

「住所」の欄には、離婚届を提出する時点での住民票上の住所を記載します。離婚届を出す時点でまだ住民票上の住所が同じなのであれば、夫の住所と妻の住所は同じになります。一方、離婚届を出す前にすでに別居して住民票も移している場合には移転先の住所を記載することになるため、夫の住所と妻の住所は違う住所になるでしょう。

 

住所は「1-1-1」など略さず、「1丁目1番1号」など正確に記載してください。また、マンションやアパートの場合には、部屋番号まで正確に記載しましょう。

 

世帯主を記載する

住所の欄のすぐ下にある「世帯主の氏名」の欄には、現在の住民票上の世帯主の氏名を記載します。

 

本籍と筆頭者を記載する

「本籍」の欄には、現在の本籍地を記載します。離婚届を出す時点では夫と妻は必ず同じ戸籍に入っていますので、離婚をする夫と妻の本籍地は同じであるはずです。

 

なお、住所と本籍は同じ場合もありますが、必ずしも同じとは限りません。住所地と本籍地がまったく別の場所である可能性もありますし、同じ場所でも表記が異なる場合もあります。表記に迷う場合には、あらかじめ戸籍謄本を取得し、戸籍謄本を確認しながら記載するとよいでしょう。

 

「筆頭者の氏名」の欄には、戸籍の一番上に書かれている人の氏名を記載しましょう。通常は、夫婦のうち、婚姻時に姓を変えなかった側が筆頭者です。

 

それぞれの父母の氏名を記載する

「父母及び養父母の氏名」の欄には、夫と妻それぞれの父母の氏名を記載します。父母の中にすでに他界している人がいる場合でも、記載が必要です。また、父母が離婚をしている場合であっても、父母ともに記載してください。

 

父母の氏名の右にある「続き柄」欄には、父母から見た続き柄を記載します。男性は「長男、二男、三男」などで、女性は「長女、二女、三女」などです。

 

誰かの養子に入っている場合には、「養父・養母」の欄に養父と養母の氏名を記載しましょう。養子に入っていない場合には、「養父・養母」の欄は空欄のままとします。

 

離婚の種別にチェックを入れる

「離婚の種別」欄は、離婚をした方法にチェックを入れます。裁判所を介さずに離婚をした場合には、一番上の「協議離婚」の欄にチェックを入れましょう。

 

調停や審判など裁判所を介して離婚をした場合には、それぞれ該当する項目にチェックをいれたうえで、成立日や確定日を記載してください。裁判所を介して離婚をする場合には調停調書などが添付書類となりますので、これを確認しながら日付を記載するとよいでしょう。

 

婚姻前の氏にもどる者の本籍を記載する

「婚姻前の氏にもどる者」とは、現在夫婦で入っている戸籍から抜ける側の人のことです。この人が、新たに入る戸籍について、本籍地と筆頭者を記載しましょう。

 

いまの戸籍から抜ける側の人の選択肢は次の2つであり、それぞれ次の内容を記載します。

 

・婚姻前の戸籍(父母などの戸籍)に戻る場合:婚姻前に入っていた戸籍の本籍地と筆頭者(父か母)を記載する。

・父母の戸籍には戻らず新たに自分の戸籍を作る場合:本籍地欄には新たに本籍地として定めたい場所を書き、筆頭者の氏名欄には自分の氏名を記載する。

 

未成年の子の氏名を記載する

離婚をする夫婦のあいだに未成年の子がいる場合には、親権者を決めたうえで、「未成年の子の氏名」欄に氏名を記載します。夫が親権者となる子は「夫が親権を行う子」の欄に、妻が親権者となるについては「妻が親権を行う子」欄に記載しましょう。

 

同居の期間を記載する

「同居の期間」欄は、同居を始めた年月と別居をした年月をそれぞれ記載します。「同居を始めたとき」の欄は、婚姻をした日と同居を始めた日のいずれか早い日を記載しましょう。また、「別居したとき」の欄は、離婚届を出す時点でまだ別居をしていないのであれば、記載する必要はありません。

 

別居する前の住所を記載する

「別居する前の住所」欄は、離婚届の提出時点で夫婦が別居している場合にのみ記載します。ここに書くべき住所は、以前夫婦が同居をしていた場所の住所です。

 

それぞれの職業を記載する

離婚届を出す年が国勢調査の年に当たる場合には、「別居する前の世帯のおもな仕事と夫妻の職業」欄を記載します。ここはいわゆるアンケートのようなものですので、難しく考える必要はありません。

 

届出人がそれぞれ署名する

離婚届には、夫婦がそれぞれ署名するのが原則です。なお、以前は押印が必須とされていましたが、現在は押印をしてもしなくても構わないとされています。

 

ただし、あとから「署名などしていない」などと主張されないよう、可能であればお互いに押印をしておくほうがよいでしょう。

 

証人2名の住所などを記載して署名をもらう

協議離婚の場合(裁判所を介さずに離婚をする場合)には、証人2名の署名と、生年月日や住所、本籍の記載が必要です。証人は他人であっても構いませんし、夫や妻の父母などであっても構いません。

 

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