成長が期待できる企業は、新興国にも点在
――なるほど。こうしたグローバルで成長する分野に着目すると、大きな成長が期待できる企業がいろいろとありそうです。
穂谷「そうですね。成長分野で欠かせないキーとなる企業は、先進国のみならず新興国にも広く点在しています。むしろ新興国企業を中心とした分野もたくさんあり、たとえば最先端半導体で圧倒的な存在感を持つ台湾セミコンダクター(TSMC)は、その象徴的な企業です。
電気自動車(EV)のサプライチェーンを1つ取っても、代表的なプレイヤーの多くは中国をはじめとした新興国企業で、なかには新興国企業しかない工程すら存在します[図表3]。
以前であれば完成車メーカーは先進国企業が多くを占めていましたが、いまはサプライチェーン全体に新興国企業が広がっており、その分、ビジネス上の交渉力も増しています。

*年平均予想成長率の各計算期間は、ロボティクス:2022~2025年、太陽光発電:2021~2030年、南米のオンライン旅行市場:2021~2026年、バッテリー需要:2021~2050年、新興国(除く中国及びスロバキア)のeコマース売上:2021~2026年、南米のデジタル決済:2021~2027年。
出所:バーンスタイン、ブルームバーグ MIR Databank, SNE Reserch,AB
――グローバル規模での成長テーマでは、影響力の強い新興国企業への投資も大切になりそうですね。
穂谷「次世代を意識した産業分野はそれぞれ異なるサイクルで成長していくため、たとえば、ビジネス特許や最先端技術を持つ先進国企業のポートフォリオに新興国企業を加えることで、投資における分散効果の高まりが期待できます。
また新興国は、現地市場の発展という面でも注目できます。たとえば、所得が軒並み伸びている新興国では、eコマース(電子商取引)が著しい成長を遂げています。それでもまだまだ市場は黎明期にあり、1人当たりの利用額でみると、中国と韓国を除く新興国は、先進国の約17分の1程度に過ぎません。
特に、南米は成長が期待されるエリアで、2027年の流通取引総額は約2,000億ドルと、2022年比で倍増する予想です[図表4]。

2023年9月現在。
出所:AB
――5年で倍増とはすごいスピードでの成長ですね。市場をつぶさに見ていけば、高成長が期待できる企業はまだまだありそうです。
穂谷「そうですね。世界株や国別の株価指数に連動する形で投資するだけではなく、世界経済が低成長でも期待が持てる分野やテーマの企業に厳選して投資することが、将来の良好な運用成果につながるのではないでしょうか」
――ありがとうございました。今回のお話からは、イノベーティブな投資機会がグローバルに点在し、インベストメントチェーンを見渡しながら、要となる企業に注目することが大切であることがわかりました。2024年は、成長テーマを考え、厳選した銘柄への株式投資を意識したいですね。
<<<【AB’s Market Tips】#10 グローバルな成長分野に目を向ける>>>
穂谷 栄一郎
アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト
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