口を出してきたり、あおったり・・・厄介な子どもの配偶者
「元は親のお金といえども、相続してしまえばこちらのもの」
──と、子どもさん自身は思わなくても、子どもさんのお嫁さん・お婿さんがそのお
金を「あてにする」こともあるかもしれませんし、それどころか、「完全に握ってしまう」ことも残念ながらあり得ます。
そもそも遺産分割協議でもめにもめてまとまらなくなるケースでは、親子の間ではい
ったん合意ができていても、子どもの配偶者が口を出してきたり、子どもをあおったり
して、話がややこしくなる、というケースも非常に多いのです。
「母が半分、残り半分は子どもたちきょうだいが仲よく均等に分け合う」ことで一度は
話がついたにもかかわらず、「ちょっと、それはないんじゃないの?お義兄さんは私立の医大に行かせてもらっているのに、あなたは国立大の医学部だったでしょ。6年間に支払った学費には何百万もの差が出ているはずよ。そんなの不公平だわ。その分、分けてもらいなさいよっ」
……とお嫁さんにけしかけられ、それまでは本人も「兄は国立大の受験に失敗して、
すべり止めの私立医大にしか入れなかっただけだから、仕方なかったんだ」くらいに思
っていたけれど、やっぱりお嫁さんには逆らえないし──というようなこともままあり
ます。
また、娘さんがご主人に「お義姉さんは結構な持参金つきで良家に嫁いだらしいけど、
君はそうじゃないよね。君は知らないみたいだけど、こういう場合は『特別受益』って
言ってね……」とか、「病弱なお義母さんに代わってお義父さんの介護を一手に引き受
けていたんだから、『寄与分』というのを請求できるはずだよ。その分ちゃんともらわ
なければだめだよ」と教えられて、「あら、そんなものなのね」と、めざめて(?)し
まうこともあります。
理性的に対応できるお嫁さん、お婿さんは少ない!?
このような場合には往々にして、相続した後の財産は、「夫(妻)のものは自分のもの」
とばかりに、子どもの妻や夫の手に握られてしまうものです。
そうでなくても、夫婦のどちらか一方が財産を管理している場合、たとえ夫や妻の親
からの相続財産であっても自分が管理しなければ気が済まない、ということになりがちです。
もちろん、なかには「夫(妻)の家の相続には口を出さない」「夫(妻)の親からの
相続財産はあくまで夫(妻)のもの」と、理性的に対応できるお嫁さん、お婿さんもい
るのですが、そうでない場合もありえるのです。
また、「次男の嫁はよくできているから、次男には相続させるけど、長男の嫁は『モ
ンダイあり』だから、長男には相続させない」というわけにもいきません。
「子どもに相続させたお金が、婿・嫁の自由にされてしまう」ことになっても、「ま、
仕方ないでしょう」とご自身が割り切れるのであれば、問題はありません。
しかし、もしそんなことになれば、「冗談じゃないわよ」と心穏やかではいられない
のであれば、「子どもには相続させない」を貫つらぬいたほうがいいでしょう。
仮に遺産分割協議の場でもめることになったとしても、その後起こることになる争い
は、避けることができるはずです。