今回は、遺産分割でネックとなる「子どもの配偶者」という存在について見ていきます。※本連載は、ファイナンシャルプランナー・高橋成壽氏の著書、『ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋し、50~70代の女性を対象とした相続対策のポイントなどをご紹介します。

口を出してきたり、あおったり・・・厄介な子どもの配偶者

「元は親のお金といえども、相続してしまえばこちらのもの」

 

──と、子どもさん自身は思わなくても、子どもさんのお嫁さん・お婿さんがそのお
金を「あてにする」こともあるかもしれませんし、それどころか、「完全に握ってしまう」ことも残念ながらあり得ます。


そもそも遺産分割協議でもめにもめてまとまらなくなるケースでは、親子の間ではい
ったん合意ができていても、子どもの配偶者が口を出してきたり、子どもをあおったり
して、話がややこしくなる、というケースも非常に多いのです。

 

「母が半分、残り半分は子どもたちきょうだいが仲よく均等に分け合う」ことで一度は
話がついたにもかかわらず、「ちょっと、それはないんじゃないの?お義兄さんは私立の医大に行かせてもらっているのに、あなたは国立大の医学部だったでしょ。6年間に支払った学費には何百万もの差が出ているはずよ。そんなの不公平だわ。その分、分けてもらいなさいよっ」


……とお嫁さんにけしかけられ、それまでは本人も「兄は国立大の受験に失敗して、
すべり止めの私立医大にしか入れなかっただけだから、仕方なかったんだ」くらいに思
っていたけれど、やっぱりお嫁さんには逆らえないし──というようなこともままあり
ます。

 

また、娘さんがご主人に「お義姉さんは結構な持参金つきで良家に嫁いだらしいけど、
君はそうじゃないよね。君は知らないみたいだけど、こういう場合は『特別受益』って
言ってね……」とか、「病弱なお義母さんに代わってお義父さんの介護を一手に引き受
けていたんだから、『寄与分』というのを請求できるはずだよ。その分ちゃんともらわ
なければだめだよ」と教えられて、「あら、そんなものなのね」と、めざめて(?)し
まうこともあります。

理性的に対応できるお嫁さん、お婿さんは少ない!?

このような場合には往々にして、相続した後の財産は、「夫(妻)のものは自分のもの」
とばかりに、子どもの妻や夫の手に握られてしまうものです。


そうでなくても、夫婦のどちらか一方が財産を管理している場合、たとえ夫や妻の親
からの相続財産であっても自分が管理しなければ気が済まない、ということになりがちです。


もちろん、なかには「夫(妻)の家の相続には口を出さない」「夫(妻)の親からの
相続財産はあくまで夫(妻)のもの」と、理性的に対応できるお嫁さん、お婿さんもい
るのですが、そうでない場合もありえるのです。


また、「次男の嫁はよくできているから、次男には相続させるけど、長男の嫁は『モ
ンダイあり』だから、長男には相続させない」というわけにもいきません。


「子どもに相続させたお金が、婿・嫁の自由にされてしまう」ことになっても、「ま、
仕方ないでしょう」とご自身が割り切れるのであれば、問題はありません。


しかし、もしそんなことになれば、「冗談じゃないわよ」と心穏やかではいられない
のであれば、「子どもには相続させない」を貫つらぬいたほうがいいでしょう。


仮に遺産分割協議の場でもめることになったとしても、その後起こることになる争い
は、避けることができるはずです。

本連載は、2014年12月5日刊行の書籍『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術

ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術

高橋 成壽

廣済堂出版

60代前後の女性は、ダンナが亡くなった後のことをほとんど考えていません。ダンナが亡くなったあと、年金が大幅に減ることも、現金がないと家や土地を子どもに半分分け与えることになってしまうことも、ほとんどの人は知りませ…

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