子どもの「母さんの面倒をみるよ」があてにならない理由

今回は、子どもの「母さんの面倒をみるよ」という言葉がなぜあてにならないのか、その理由について説明します。※本連載は、ファイナンシャルプランナー・高橋成壽氏の著書、『ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋し、50~70代の女性を対象とした相続対策のポイントなどをご紹介します。

ライフスタイルや生活環境が変わる子どもたち

持ち家に限らず、金銭的な財産を子どもたちが半分相続した場合、手もとに残る資産の額によっては生活の基盤が大きくゆるぎかねないのですが、それでも多くの場合、子どもさんたちはこうおっしゃると思います。

 

「お母さん、心配ないよ。もしお金が足りなくなったら、僕・私が面倒みるから──」その子どもさんたちの気持ちに、ウソ偽りはないでしょう。しかし、その言葉通りになるかどうか──それは別の話です。

 

仮に夫亡き後、奥様が20年、あるいは10年生きるとしても、その間には子どもさんたちのライフスタイルや環境が変わることもあるでしょう。今はお給料のよい会社に就職していても、会社の事情でお給料が極端にカットされたり、条件の悪い会社に転職せざるを得なくなったりすることもあるかもしれません。子どもさんが経営している会社が、倒産の危機に見舞われることもないとはいいきれないでしょう。

 

結婚して何ひとつ不自由なく暮らしていた娘さんが、10年後には離婚をしてシングルマザーになっているかもしれません。自分たちのことで手いっぱいになってしまった子どもさんにしてみれば、困っている母親をなんとか助けてあげたいと思っても、なかなかそうもできないということもあるわけです。

 

「でも、子どもたちも、ああ言ったからには、お父さんからの遺産は『イザ』というときのためにとっておいてくれているのではないかしら」──と、奥様が期待を抱いていても、子どもさんも自分たちの貯金が底をつけば、後ろめたさを感じながらも、父親から相続した財産を切り崩してしまっていることもあるでしょう。

 

子どもさんたちの性格は変わらなくても、社会情勢、世の中の事情は刻々と変化し、その変化のなかで子どもさんたちもその時々を、精いっぱい生きていかなければなりません。いったん子どもたちのお財布に入ってしまったお金は、あてにはできないと心得るのが賢明です。

やはり夫の財産はすべて妻が相続するほうが…

子どもさんのライフスタイルの変化は、子どもさんが結婚されていれば、さらにバラエティに富んできます。子どもさんのお子さん、つまりみなさんにとってはお孫さんの出産・就学・就職・結婚によるライフスタイルの変化に加え、子どもさんのお嫁さん・お婿さんのご両親の介護や死亡などによっても、生活が大きく変わることがあります。

 

そのために、みなさんが子どもさんをあてにしていても、「あてはずれ」になってしまうことは、いくらでも起こるというのが、私がいろいろと相談に乗ってわかった現実です。

 

たとえば、もし自分に何かあったら、結婚後も近くに住んでいる娘さんを頼りにすればいいわ、と思っていたところに、娘さんが、「主人は次男だから、ご両親のお世話はしなくてもいいと思っていたのに、姑が長男の嫁と折り合いが悪いために、ウチで介護のお世話をすることになっちゃったのよ……」となってしまった場合。

 

こうなると、いざ自分に介護が必要になっても、娘さんはとても手が回らないか、姑と実母の介護をなんとか両立させようと、かなり無理をしなければならなくなるでしょう。もちろん、本心では、誰を置いても実の母親のお世話をしたいと思うはずです。かといって、すでにお世話をしているお姑さんをほったらかしにしてというわけにもいきません。

 

ここで、「お姑さんと私、どっちが大事なの?」と娘さんに息巻いても、彼女が苦しむだけです。娘さんだって、好きでそうしているわけではないのですから。そんなときに、あなたが、「お母さんのことは、大丈夫よ。介護が必要になったら、施設に入ることにするわ。お父さんがそれだけのものは、ちゃんと遺してくれているから」 ──と、もし娘さんにこう言えたら、きっと娘さんも、またご自身も、気持ちが楽になるのではないでしょうか。

 

そのようにするためにも、子どもたちには相続させず、夫の財産はすべて奥様が相続するほうがよいのです。

寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役

FP王子の異名をもつFP業界を代表するファイナンシャルプランナー。慶應大学総合政策学部を卒業後、金融系キャリアを経て2007年に寿FPコンサルティングを設立。女性のためのマネープラン提供を志し、クライアントの9割が女性。相続においては節税のみに偏らず、士業と一線を画した「FPならでは」のライフプラン視点に基づく相続対策が好評。相続対策では資産全体の管理・運用も手掛け、系列主義の銀行や証券会社では実現できないポートフォリオ構築を手掛けている。

著者紹介

連載女性のための「老後破産」を防ぐマネー術

本連載は、2014年12月5日刊行の書籍『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術

ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術

高橋 成壽

廣済堂出版

60代前後の女性は、ダンナが亡くなった後のことをほとんど考えていません。ダンナが亡くなったあと、年金が大幅に減ることも、現金がないと家や土地を子どもに半分分け与えることになってしまうことも、ほとんどの人は知りませ…

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