中長期保有が基本の新NISAでも“売り”が重要となる理由
たとえば、1,200万円分の株式を新NISAで購入して成長投資枠について非課税枠を使い切っているときに、保有銘柄を200万円で売却した場合、その銘柄の取得価格が100万円であれば、翌年には“100万円”の成長投資枠が復活します。
新NISAは枠をなるべく利用することが重要ですが、ある程度非課税枠が埋まってきたら、非課税枠にこだわって持ち続けずに利益確定の売りをすることも大切なのです。
株を保有し続けて利益を伸ばすには“増収増益”基調であることを確認していくということも必要になります。企業の株価は最終的には“どれだけ稼ぐことができたか”つまり利益水準に左右されます。
「今後も業績が上向くだろう」という期待が株価を押し上げていきますから、基本的には増収増益基調が崩れない限りは保有し続けることで利益を増やすことができます。
ただし、その基調が崩れたり、増収増益であっても当初の見込みより成長率が下がると株価の上昇も止まり下落します。
その企業に何らかの変化が生じて、右肩上がりに上昇していた株価のトレンドが変わり明らかに値下がりしてきたら、ある程度下落したところで売ることを事前に決めておいたほうがいいでしょう。
たとえば「高値から2割下落したところで売る」などのリリースポイントを設定しておけば、ズルズル落ちていくのを持ち続けて損が拡大する(あるいは利益が減少する)のを防ぐことができます。
それが損切りであったとしても設定価格まで落ちたら売る。そうしたディフェンシブなメンタルを持つことも大切です。
たとえ配当株中心に投資するといっても、やはり投資の前提条件が崩れてしまった場合には撤退したほうがいいでしょう。業績が安定していることを前提に投資していたのであれば、一度損切りすることも検討する場面になります。
時間を味方につけることができる新NISAであっても「いずれ戻すだろう」などと安易に考えずに、事前に設定したリリースポイントに到達したら躊躇なく売ることで含み損を長期間抱えることを避けられ、さらに非課税枠も再利用することができる。
中長期保有が基本の新NISAでも“売り”は重要なのです。
長田 淳司
サラリーマン投資家
※本記事は『新NISAはほったらかしが9割』(双葉社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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