「銀行が高く評価する物件」は価値の高い物件といえるのか?…不動産営業マンの“巧みなセールストーク”に潜む落とし穴【不動産投資のプロが解説】

「銀行が高く評価する物件」は価値の高い物件といえるのか?…不動産営業マンの“巧みなセールストーク”に潜む落とし穴【不動産投資のプロが解説】

投資用の物件を選択する際、不動産営業マンから「銀行からの評価が高い物件ですよ」と聞くと、「市場価格が高い良物件だ」と思ってしまいがちですが、実態は大きく異なります。本稿では、株式会社JKASの「不動産投資に困ったときのあなたの街の相談窓口」代表を務める中村悠樹氏が、銀行が物件のどこをみているのかについて解説します。

融資の可否を判断する際、金融機関がみているポイントは?

銀行は上にみた残存年数を基準にして不動産を評価する訳ですが、極端な話、仮に築35年の木造建物が存在する土地が非常に高評価だったとしても、建物の評価が無に近いため、非常に厳しい条件が付加されたりします。

 

たとえば物件価格の50%の自己資金等を求められることは一般的です。

 

仮に1億円の物件を買おうとしていて、物件価格の50%の自己資金の支払いを求められたとしたら……。これを支払って購入することは可能でしょうか? 1億円の50%ですから、自己資金として5,000万円もの大金を調達しなければなりません。

 

富裕層であれば話は別ですが、普通のサラリーマンには無理難題でしょう。

 

しかし、そういった築古物件のなかにこそお宝が眠っているもので、都内でも「利回り7%超」という物件がみつかることも珍しくありません。ほぼ土地だけの金額でアパートが買えてしまうような、良い案件に巡り合えることもあります。

 

そういった利回りや価値を備えているにもかかわらず、銀行は建物の残存年数のみによって融資の可否を判断しているといっても過言ではありません。不動産というのは多角的に観察しなければいけません。アパートには土地がついており、その土地は、建物とは違って価値が目減りするという考え方はありません。

 

日本の所有権の考え方は確固たる権利であり、たとえ国であってもこれを侵害することはできません。これがお隣中国では、社会主義の国ということもあり、自分の土地の所有権は日本に比べて脆弱です。

 

そんな日本の土地の所有権を持つにもかかわらず、銀行は建物の残存年数でしか物件を評価せず、したがって建物が古ければどれだけ価値の高い土地に建っていようとも、融資が降りない可能性が高いのです。

金融機関が融資しやすい物件とは?

反対に融資が出る物件とは、建物の残存年数があり、融資期間中の収入がみえている物件です。

 

つまり、築浅の鉄筋コンクリート造マンションで家賃保証付の物件などは銀行からすれば非常に融資のしやすい物件だといえます。

 

自己資金はほぼ必要なく、満額融資で購入可能となることもあるでしょう。現在はこのようにローンが通過しやすい物件が大変売れています。

 

しかしここまでみてきた通り、不動産業者が行う「不動産査定」と、銀行による「不動産評価」はまったく異質です。にもかかわらず一般の消費者は「銀行の評価が出ているから良い物件だ!」と勘違いしがちで、間違った不動産を購入し、多額の負債を抱えてしまうケースが後を絶ちません。

 

およそ投資とは呼べないような、相場よりも大変高額で、とんでもなく低利回りの物件が取引されており、多くの若者が騙されているのです。

 

悪意のある不動産業者は「銀行の評価が高い=物件の価値が高い」というイメージを巧みに利用し、セールストークに「銀行も高く評価していますよ」というフレーズを織り込み、安心感があるように勘違いさせることで、多額のローンで購入させるという手法を用いているようです。

 

この前提を押さえておくだけで、不動産投資の落とし穴を1つ、回避できるでしょう。

 

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