ビジョンの解像度は“実在する3人の登場”で高まる
ビジョンが「未来の“その日”が動画で再生される」ということであるならば、「動き」がなければ成り立ちません。動くものとはなんでしょうか? 風に揺らめく木々の葉でも良いのですが、やはり「人間」の登場が欠かせないと思います。しかも、どこの誰だか分からない人ではなく、実在する人の方が感情移入できます。
そこで、私は、次の人物が経営計画書に登場するように提案しています。
1.顧客
2.自分
3.仲間
■顧客
経営は、顧客に喜ばれ支持されることで成り立ちますので、顧客の成功イメージは欠かすことができない要件です。顧客は、「この人に喜んでもらいたい」と心から思える「実在する人」が条件です。既存客でなくてもよく、家族でも友人でもOKです。
社員1人1人が、「自分はこの人」と個別に設定することも有効です。実在する人を挙げることで、自社の対象顧客が明確になるとともに、顧客に喜ばれるイメージにリアリティが生まれます。事業定義が、言葉での説明では得られない生命力を帯びるのです。
■自分
私が提唱する「指示ゼロ経営」には、「望みの統合」という重要な概念があります。社長が望むことをいくら熱弁したところで、それを社員が望まない、あるいは無関心、つまり「望みの分離」が起きていたら自発性は期待できません。
望まない人を動かすためにはアメとムチ、指示命令によるコントロールが必要になります。しかし、他者によるコントロールでは、真の自発性も創造性も発動しません。
「望みの統合」を起こすためには、経営計画書に、社長を含む全員の、会社の成功の暁に実現する「個人のビジョン」を描くことが欠かせません。「新車を買った」とか「家族で旅行をした」といったプライベートなことでOKです。
社員全員分を経営計画書には盛り込めないと思いますので「別冊」のような形でまとめることをおすすめします。
■仲間
仲間のビジョン……夢を知ることで、互いに対する共感が生まれます。チーム内に不毛な競争があれば話は別ですが、そうでなければ「1人1人の夢を実現する最も有効な方法は共創・協働である」という機運ができ、上質なチームワークが形成されます。
当社では、毎年、社員のビジョンを「別冊」にまとめ、全社員に配布してきましたが、みんな仲間のページを興味深く読んでいました。
このように、3人の登場人物のイメージをゴールに、そこまでの道のり……「方法」を埋め込むことで物語になります。数値的な成果は、物語による産物という位置づけとして計画されます。
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